yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アルバン・ベルク『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』ほか。ロマンの絢爛に彩られた音楽。その芳醇な美しさを思い知らされる。

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Alban Berg:Sieben frühe lieder, Nr. 3 Die Nachtigall. Anne sofie von Otter.

            

      ナイチンゲール Die Nachtigall

      それはナイチンゲール
      一晩中うたったためだった、
      あたりにひびき渡る
      その甘い歌声に誘われて、
      ばらが咲き出でたのだった。

      あの子は今までお転婆娘だった、
      それがもの想いに沈むようになり、
      帽子もかぶらずに、手にもったまま、
      じっと夏の灼熱の耐えている、
      自分でどうしてよいかもわからずに。

      それはナイチンゲール
      一晩中うたったためだった、
      あたりにひびき渡る
      その甘い歌声に誘われて、
      ばらが咲き出でたのだった。

            作詩:テオドール・シュトルム(Hans Theodor Woldsen Storm、1817-1888) 
            (訳:喜多尾道冬/解説書より)

イメージ 2なんとまあ、凄いロマンの絢爛に彩られた音楽だこと。あきれるばかりの芳醇なオーケストレーション。完璧にロマン派だ。無調セリーの萌芽をどこに聴くべきか、・・・といいたくなる。それにしてもなんと美しいことよ。≪ベルクは、革命家であろうとはしなかった。彼は、「正しく理解された古き良き伝統の、自然な継承者」であろうとしたのである。彼はいわば、ロマン的な構成主義者だった。彼は、きわめて高度な前衛的作曲技法を投入しつつも、聴き手への情動的訴えかけを音楽が失わぬように配慮した。・・・彼はこの曲(管弦楽のための3つの小品、OP.6)が「シェーンベルクのオーケストラ曲とマーラーの第9を同時に演奏したかのように響くに違いない」と考えた。≫(解説書・フォルカー・シェルリース)まさに、まさに・・・。図書館ネット借受で鑑賞。そうなのだ、この芳醇豊麗な美しさが、我が若き日には疎ましかったのだ。けれど、いま感嘆のおもいで聴くことができる。いかなる変化か?というもマーラーは退屈なのだけれど・・・。




Alban Berg『Drei Orchestrastucke op.6』

1. 初期の7つの歌 Seven Early Songs: 夜Nacht (1928年管弦楽版)
2. Seven Early Songs: 葦の歌Schilflied
3. Seven Early Songs: ナイチンゲールDie Nachtigall
4. Seven Early Songs: 無上の夢Traumgekront
5. Seven Early Songs: 部屋の中でIm Zimmer
6. Seven Early Songs: 愛を讃えるLiebesode
7. Seven Early Songs: 夏の日々Sommertage
8. ワインWine: Conc Aria
9. 管弦楽のための3つの小品OP.6 Three Pieces: 第1曲I. 前奏曲Praludium. Langsam
10. Three Pieces:第2曲II. 輪舞Reigen. Anfangs Etwas Zogernd-Leicht Beschwingt
11. Three Pieces: 第3曲III. 行進曲Marsch. Massiges Marschtempo


アルバン・ベルク投稿済み記事――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/51892874.html アルバン・ベルクの『弦楽四重奏曲作品3』(1925)』『弦楽四重奏のための<抒情組曲>』。拮抗し緊張を湛えた抒情と潤いのある弦楽の響き。