yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

スティーヴ・レイシー『The Crust』(1973)。アルバム名義のレイシーはともかく、デレク・ベイリーとジョン・スティーヴンスのインタープレイがすばらしい。

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Evan Parker / Derek Bailey / Han Bennink "Fixed elsewhere" from "The topography of the lungs" (Incus 1) Recorded in London on 13 July 1970.

           
        投稿記事の音源ではありませんが、これぞヨーロッパフリーの極致。傑作音源です。

きょうはスティーヴ・レイシーSteve Lacyの『The Crust』(1973)を聴こう。シンプルなジャケットデザインがいかにもヨーロッパフリーだ。これがいいのです。とにもかくにもメンバーに唯一無比孤高のギタリスト、デレク・ベイリーDerek Baileyとドラムスにジョン・スティーヴンスJohn Stevensの名がみえるのが目を引く。もうこれでこのユニットのパフォーマンスの質は決定付けられたも同然と言い切りたい衝動に駆られる。スティーヴ・レイシーをそっちのけてのこの二人のインタープレイ(A1. THE CRUST、B2. A BIT OF THE DUMP)はやはり抜きんでてすばらしい。この二人のすばらしさは70年を挟む、初期の「So, What Do You Think?」と「Karyobin」のヨーロッパ・イギリスフリージャズ史上の歴史的両傑作にて聴くことができるだろう。このアルバムでも、聴きどころはこの二人の緊張感溢れた丁々発止のインタープレイであると言い募っておこう。ヨーロッパフリーを切り開き推進してきたこの二人のすばらしさを堪能できるアルバムの内の一枚といっておこう。きょうのこのアルバムは一応スティーヴ・レイシー名義のアルバムではあるけれど・・・。ところで、アルバム裏面のスティーヴ・レイシー作曲の各タイトル曲への簡単なコメントには、詩人アポリネールや、アントン・ウェーベルン、おまけに画家のマーク・ロスコーまでの名が見えるのだけれど、この知性のありどころはと、ちょいと気になるところではある。ふつうじゃない。




Steve Lacy『The Crust』(1973)

Steve Lacy(ss)
Steve Potts(as,ss)
Derek Bailey(g)
Kent Carter(b)
John Stevens(ds)

A1. THE CRUST
A2. 38
B1. THE OWL
B2. A BIT OF THE DUMP
B3. FLAKES
B4. REVOLUTIONARY SUICIDE



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