yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

リュック・フェラーリ『Presque Rien No 1』と『Société II』。これほど、ひねくれて、斜に構えて骨太くダダを突っ切ったパフォーマンスもいまや貴重な存在。

イメージ 1

Ferrari - Societe II (Part 2)

             

イメージ 2これほど、ひねくれて、斜に構えて骨太くダダを突っ切ったパフォーマンスもいまや貴重な存在といえるだろうか。きょう取り上げるリュック・フェラーリLuc Ferrari, 1929 – 2005)のドイツ・グラモフォンアヴァンギャルドシリーズのうちの一枚に収録された2作品のひとつ、テープ音楽の「PRESQUE RIEN No.1( Lever du Jour au Bord de la Mer)」。これは「ほとんど何もない・・・」といった意味だそうで、もう、このタイトルからして風変わりではある。そうです。印象もそうなのです。「ほとんど何もない・・・」?。NHKラジオの名番組「音の風景」よろしく、人をとりまくもろもろの音を採録(フィールド・レコーディングし)編集しただけ!?のテープ音楽だ。もりあがるでもなく淡々と流れてゆく。けれど、潜んだ編集の妙、その感性が後半徐々に浮き出てくる仕組み。テープ音終結のその余韻は不思議に魅力をもつのだけれど。まったくそこにはいっけん?(一聴)「ほとんど何もない・・・」。このニヒリズム。あきれつつも・・・だが微妙にじんわりとナットクといった作品といっておこうか。この作品は以前【存在の異和・齟齬が開示するルック・フェラーリの音世界?】とタイトルして投稿している。そしてもう一つは「Société II, et si le piano était un corps de Femme(for Piano, 3 Percussions and 16 Instruments)」。これまたポップス、ジャズ等を含めいろいろなジャンルの形式がゴタマゼに元気よく投げ出される。いわば音楽の今、社会はこうであれかしといわんばかりのハチャメチャをやってみせ、ダダ的に狂騒するのだ。閉塞、苛立ちの表出といえなくもない。諧謔的快感にいつの間にやら魅入られてゆく奇妙な印象を持つパフォーマンス、作品といえようか。これも同じようなコンセプトの作品を収録したアルバムをすでに【DADA的音響のパッチワーク的世界に興趣つのる、斜(ハス)に構えるリュック・フェラーリの『Interrupteur』(1967)と『Tautologos3』(1969)。】とタイトルして投稿している。まともな考えでは飽き足らない、天邪鬼でへそ曲がりなダダ的快感に飢えているリスナーにはお薦めの作品群といっておこうか。



リュック・フェラーリLuc Ferrari 『Presque Rien No 1 / Société II, et si le piano était un corps de Femme(for Piano, 3 Percussions and 16 Instruments)』(1971)

Tracklisting:
A Presque Rien No 1 (Le Lever Du Jour Au Bord De La Mer)
Producer [Realized By], Mixed By - Luc Ferrari

B Société II (Et Si Le Piano Était Un Corps De Femme)
Composed By - Luc Ferrari
Conductor - Konstantin Simonovitch , Konstantin Simonovitch
Engineer - Heinz Wildhagen
Ensemble - Ensemble Instrumental De Musique Contemporaine De Paris*
Other [Artistic Supervision] - Hansjoachim Reiser
Percussion - Gaston Sylvestre , Jean-Pierre Drouet , Sylvio Gualda
Piano - Gérard Frémy



http://www.lucferrari.org/ リュック・フェラーリ・オフィシャルサイト

参考リンク――
http://www009.upp.so-net.ne.jp/malaparte/ferrari/f_uplink/ferrari.u.htmlリュック・フェラーリ ある抽象的リアリストの肖像」LUC FERRARI - portrait d'un realiste



Luc Ferrari - Music Promenade (1/2):Presque Rien (INA/GRM) (1970)