ピエール・バルトロメー『SONATA QUASI UNA FANTASIA』『HARMONIQUE』(Rec.1973)。≪羨ましいほどの落ち着き、ゆとり。洗練。流れるような前衛。≫多彩な音色展開。
せめて、動画サイトにて紹介音源があれば意気上がるのだけれど・・・。ベルギーはブリュッセルの産。華やかな学業成績、修学歴ゆえ、そうとうな俊秀のようだ。ピエール・バルトロメーPierre Bartholomee(1937-)。相当前だけれどブログ開設間もない頃、国を同じくする、ブーレーズの盟友アンリ・プスール(Henri Pousseur、1929 - 2009)とのカップリングアルバムを≪羨ましいほどの落ち着き、ゆとり。洗練。流れるような前衛。アンリ・プスール(1929‐)の『貴方のファウストの鏡の戯れ』(1967)≫と寸評タイトルして投稿した。その中で以下の如くピエール・バルトロメーを印象していた。すなわち
≪さてもう一曲は、同じベルギーの作曲家ピエール・バルトロメーPierre Bartholomee(1937-)の『マラン・マレーの墓Le Tombeau de Marin Marais』。これは伝統的な平均律の音組織からの脱出の試みのひとつ、微分音の組織化がもたらす多彩な音色変化を作品にしている。≪バロック時代にスコルダトゥーラといわれる特殊な調弦法があったことに着眼し、ヴィオラ・ダ・ガンバを特別に調弦して、1オクターブを21に分割された音階をもとに、12平均律の音階による音楽よりも、より流動的な音楽の空間をつくっている≫(解説・船山隆、柴田南雄)。洗練から複雑への自覚的な螺旋的回帰といったところだろうか。過去は将来につくられ宿るといったところか。将来においてでしか過去は意味をなさない。問題意識のない現在に、将来は現成しえず、過去もまた現成しえぬということなのだろうか。過去が過去足りえるのは将来の現成する現在の自覚的反省においてだということなのだろう。過ぎ去った過去がただ単に、無媒介に過去であるわけではない。≫
なんとも気負った文章でいやはやですが。それはともかく、よくこれだけさまざまな意匠のもとに音楽が組織されるもんだと、つくづく現代音楽とは追いかけるには厄介でしんどいものと思わされる。悪い意味ではなくいい意味でだけれど。このスリリングな出会いが堪らないからこそ長年現代音楽と付き合っているのだけれど。月並みだけれど多彩な音色展開にその力量は如実に表れている。手練れた音色処理。最後までダレルことなく引っ張ってゆく力。わが身を音と化し戯れる革新の強固な意志。≪羨ましいほどの落ち着き、ゆとり。洗練。流れるような前衛。≫とはアンリ・プスールを指しての言葉だったけれど、ピエール・バルトロメーにもそうした言葉は妥当する。彼らにとって現代音楽とは歴史の必然としての事態であったのだ、伝統に根ざす出来事だったのだと思い知る。
≪さてもう一曲は、同じベルギーの作曲家ピエール・バルトロメーPierre Bartholomee(1937-)の『マラン・マレーの墓Le Tombeau de Marin Marais』。これは伝統的な平均律の音組織からの脱出の試みのひとつ、微分音の組織化がもたらす多彩な音色変化を作品にしている。≪バロック時代にスコルダトゥーラといわれる特殊な調弦法があったことに着眼し、ヴィオラ・ダ・ガンバを特別に調弦して、1オクターブを21に分割された音階をもとに、12平均律の音階による音楽よりも、より流動的な音楽の空間をつくっている≫(解説・船山隆、柴田南雄)。洗練から複雑への自覚的な螺旋的回帰といったところだろうか。過去は将来につくられ宿るといったところか。将来においてでしか過去は意味をなさない。問題意識のない現在に、将来は現成しえず、過去もまた現成しえぬということなのだろうか。過去が過去足りえるのは将来の現成する現在の自覚的反省においてだということなのだろう。過ぎ去った過去がただ単に、無媒介に過去であるわけではない。≫
なんとも気負った文章でいやはやですが。それはともかく、よくこれだけさまざまな意匠のもとに音楽が組織されるもんだと、つくづく現代音楽とは追いかけるには厄介でしんどいものと思わされる。悪い意味ではなくいい意味でだけれど。このスリリングな出会いが堪らないからこそ長年現代音楽と付き合っているのだけれど。月並みだけれど多彩な音色展開にその力量は如実に表れている。手練れた音色処理。最後までダレルことなく引っ張ってゆく力。わが身を音と化し戯れる革新の強固な意志。≪羨ましいほどの落ち着き、ゆとり。洗練。流れるような前衛。≫とはアンリ・プスールを指しての言葉だったけれど、ピエール・バルトロメーにもそうした言葉は妥当する。彼らにとって現代音楽とは歴史の必然としての事態であったのだ、伝統に根ざす出来事だったのだと思い知る。
http://www.pierrebartholomee.com/bio_en.php Pierre Bartholomee