yuki-midorinomoriの日記

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日本現代作曲家シリーズ『安達元彦/湯浅譲二/入野義朗』。

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Motohiko Adachi JONKARA 安達元彦 津軽じょんから節より

             
             投稿音源のものではありません。

ヴァイオリン属に限った、三ないし五人編成のアンサンブル作品≫を集めた現代の作品集。で、最初の曲を聴いていて、この安達元彦という作曲家の作品をだいぶ前投稿していたはず、とブログ書庫を文字検索していて、確かにあった。≪NHK・FM特集番組『“現代の音楽”放送50年 この半世紀を振り返る』を迂闊なことに聴き逃す。う~んん、チクショウ知らなかった。≫というタイトルのもと投稿したアルバムにあった。以下の内容だった。
以前ブログにも綴ったけれど、ジャズピアニストの佐藤允彦バークレーへの留学前、その現場、演奏会場におり大いに感銘を受けたと語っている、その武満徹(1930)と一柳慧(1933)の企画構成による音楽祭・「オーケストラル・スペース1966」(なんでも列をなすほどの観衆で熱気に包まれていたそうである)の 『オーケストラル・スペース1966 VOL.2』と銘打たれたアルバムを取り上げておこう。内容は          

 1.アトモスフェール(リゲティ
 2.戦術(クセナキス
 3.18回目の春のすばらしい寡婦(ケージ)
 4.アンバージュ(レイノルズ)
 5.合奏協奏曲(安達元彦)

この中で印象的な作品は5.合奏協奏曲(安達元彦)・1963であった。(1940年大阪生まれ、国立音楽大・作曲科中退。松平頼暁間宮芳生らにも師事したそうである。)この作品は≪クラスターや独特なソノリティーのマッスと独奏の旋律の対比で形づくられた注目すべき作品であった≫(秋山邦晴「日本の作曲家たち」より)とあるごとく、すばらしい作品であった。そう、であったのだ。作風はこの作品以降大いに変わり≪民謡や民俗的なものに傾斜して、五音音階への新しいアプローチをこころみたりしている。≫(同上)との由。】

斯く、「合奏協奏曲(安達元彦)・1963」を強く印象していたのだった。23才のときの作品だ。ところで、今回の「コントラバス弦楽四重奏のためのコンチェルタント」(1969)は、先の≪民謡や民俗的なものに傾斜して、五音音階への新しいアプローチをこころみたりしている。≫と述べられていた通りの曲趣で、謂わば根っこの民俗性を繰り込もうという意図であることは了解できる。この試みは成功しているといっていいのだろう。戦後現代音楽の開発した手法、音響、奏法を駆使して、その民俗性を現代的センスで掬いあげてすばらしい。この種の音楽によくある、取ってつけたような折衷姓のないのがおおいに好感できる。それにしても、その後の作曲活動ブリはどうなのか、ほとんど聞かないが。

さて、湯浅譲二弦楽四重奏のためのプロジェクション」(1970)。この前衛性はさすがです。弦を押し付けて擦る奏法の何と効果的なことか。この音で決まりといいたくなるほど斬新な弦楽四重奏だ。それと音列書法のもと、構成の彫琢に力量の限りを尽くし腕をふるって自立的な音響世界をつくりあげる入野義朗「弦楽三重奏曲」(1965)。どちらも安達元彦作品とちがって、その志向性は無国籍といえば、そうなのだけれど、そうであるからこそ純粋抽象、絶対音響世界としてその美と精神は自ずから佇み聳立する。




日本現代作曲家シリーズ『安達元彦/湯浅譲二/入野義朗』

安達元彦コントラバス弦楽四重奏のためのコンチェルタント」(1969)
湯浅譲二弦楽四重奏のためのプロジェクション」(1970)
入野義朗「弦楽三重奏曲」(1965)