yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

フランク・ベッカー 『セレブレイション』(1977)。日本に14年間滞在、生活。それもあってか日本の作曲家より日本的趣きを感じさせる。

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Frank W. Becker
イメージ 2日本に14年間滞在、生活し、おまけに武満徹や、一柳慧高橋アキらと現代音楽の活動をともにおこなっていた(日本でレコードまで出している)アメリカはニュージャージを出自とするフランク・ベッカー Frank W. Becker(1944‐)のマイナーレーベル(GORILLA)よりリリースされた『セレブレイションCELEBRATION』(1977)。紹介動画音源もないので投稿を躊躇したのだけれど。基調はシンセサイザーとマルチチャンネルテープ音楽とのパフォーマンスだ。雷、雨、セミひぐらし)の鳴き声など自然音を取り入れての日本的寂びの余情漂うミニマル音楽(あえて云うなら、テリー・ライリ的趣き)といえるアルバムタイトル曲の「セレブレイションCELEBRATION」。それとプリペアドピアノ演奏の、テープ・ディレイを使っての多彩微細な響きの厚みをもった多層空間、音の群れを造形する「ウェイヴスWAVES」(1974~76)。それと最後に「インカージョン」。≪ジェット機のエンジンの始動音、竹や金属の風鈴、日本の仏教のお経、子供の遊ぶ声、ベトナムの民謡、弦楽器、拍子木、フレクシトーン、サイン・ウェーヴ・ジェネレータ、ピアノの弦を玩具のモーターでこする音、ピアノの内部と鍵盤から発せられる種々の音・・・など≫を使ってのミュージックコンクレート作品。1972年NHK電子音楽スタジオで制作された作品。総じて、日本を感じさせる。間(ま)と抑制。余韻余情。なんだかパターン化された印象のことばしか出てこないのだけれど。日本の作曲家より日本的趣きを感じさせる。14年も日本に居ついた、居つかせた、その表出なのだろうか。WIKIにも項目なく、その他のネット情報もない。ゆいつオフィシャル・サイトOfficial Web siteがあるのみ。だがそこで流されているのを聴くと・・・なんとも。新展開というべきか、変節というべきか?少なくともきょう取り上げた3つの音源とは、甚だしい懸隔。これが同一作曲家のものかと・・・。現代音楽ファンの私にとっては至極残念ではある。




フランク・ベッカー Frank W. Becker『セレブレイションCELEBRATION』(1977)

A-1.「CELEBRATION for synthesizer」(1976)
B-1.「WAVES for prepared piano,electronics and tape delay」(1974-76)
B-2,「INCURSION for tape collage」(1972)