yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アルバン・ベルク『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』ほか。感動を与える原質は変わることなく、たしかにわが心を揺さぶるようだ。幾度聴いても凄い。この官能的なまでの美しさ。

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Renee Fleming- Proms 2007, Berg: Seven Early Songs-3

           

          ナイチンゲール Die Nachtigall

          それはナイチンゲール
          一晩中うたったためだった、
          あたりにひびき渡る
          その甘い歌声に誘われて、
          ばらが咲き出でたのだった。

          あの子は今までお転婆娘だった、
          それがもの想いに沈むようになり、
          帽子もかぶらずに、手にもったまま、
          じっと夏の灼熱の耐えている、
          自分でどうしてよいかもわからずに。

          それはナイチンゲール
          一晩中うたったためだった、
          あたりにひびき渡る
          その甘い歌声に誘われて、
          ばらが咲き出でたのだった。

                作詩:テオドール・シュトルム(Hans Theodor Woldsen Storm、1817-1888) 
                (訳:喜多尾道冬)


きょうも、過日、FMラジオから流れていて、うん、マーラー?というわけでネット図書館より借り受けての鑑賞だったのだけれど、これが思ったほどには感興よびおこさず、カップリングされていたアルバン・ベルクに再びの感動を覚え、その投稿となってしまった。それは『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』だ。これは本当に凄い曲です。なるほど、ワーグナーはともかく(というのも私自身毛嫌いということもあって、ほとんど聴いたことがないもので・・・)、リヒャルト・シュトラウスの影響如実といわれているのも、むべなるかなの≪ロマンの絢爛に彩られた音楽≫でただただ感嘆のほかないすばらしい音楽だ。全曲トータルで17分ほどの楽曲なのだけれど。このベルクの『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』がマーラーの「交響曲第4番」とカップリングされている理由は、ベルクがこの4番の第4楽章のオーケストラ伴奏歌曲に大きく影響されたと云うイワクからのようだ。
≪「1902年にマーラー交響曲第4番がウィーンで初演されるやいなや、ベルクは若いファンの一群とともにマーラーの部屋に押しかけ、その指揮棒を手に入れて、貴重な記念碑として大切にした」。≫(解説書より)
このようなエピソードをもつほどに、ベルクにとってマーラーは大きな存在だったようだ。
ところで、このベルクの『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』は、ほぼ1年ほど前に≪アルバン・ベルク『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』ほか。ロマンの絢爛に彩られた音楽。その芳醇な美しさを思い知らされる。≫とタイトルして投稿していた。以下再掲しておこう。というのもそこに記した以上のことばをいまは紡ぎ出せそうにもないので。

【なんとまあ、凄いロマンの絢爛に彩られた音楽だこと。あきれるばかりの芳醇なオーケストレーション。完璧にロマン派だ。無調セリーの萌芽をどこに聴くべきか、・・・といいたくなる。それにしてもなんと美しいことよ。≪ベルクは、革命家であろうとはしなかった。彼は、「正しく理解された古き良き伝統の、自然な継承者」であろうとしたのである。彼はいわば、ロマン的な構成主義者だった。彼は、きわめて高度な前衛的作曲技法を投入しつつも、聴き手への情動的訴えかけを音楽が失わぬように配慮した。・・・彼はこの曲(管弦楽のための3つの小品、OP.6)が「シェーンベルクのオーケストラ曲とマーラーの第9を同時に演奏したかのように響くに違いない」と考えた。≫(解説書・フォルカー・シェルリース)まさに、まさに・・・。図書館ネット借受で鑑賞。そうなのだ、この芳醇豊麗な美しさが、我が若き日には疎ましかったのだ。けれど、いま感嘆のおもいで聴くことができる。いかなる変化か?というもマーラーは退屈なのだけれど・・・。】

感動を与える原質は変わることなく、たしかにわが心を揺さぶるようだ。幾度聴いても凄い。この官能的なまでの美しさ。




マーラー交響曲第4番』、アルバン・ベルク『初期の7つの歌(1928年管弦楽版)』

1. 交響曲 第4番 ト長調 第1楽章:ゆっくりと、急がずに-まったくゆっくりと
2. 交響曲 第4番 ト長調 第2楽章:ゆったりとした動きで、慌てることなく
3. 交響曲 第4番 ト長調 第3楽章:平安にみちて
4. 交響曲 第4番 ト長調 第4楽章:きわめてなごやかに 「我らは天上の喜びを味わう」
5. 7つの初期の歌 夜
6. 7つの初期の歌 葦の歌
7. 7つの初期の歌 ナイチンゲール
8. 7つの初期の歌 無上の夢
9. 7つの初期の歌 部屋のなかで
10. 7つの初期の歌 愛を讃える
11. 7つの初期の歌 夏の日々
12. 拍手

最終≪12. 拍手≫と、斯く表記編入してもおかしくないほどに、感に堪えぬ圧倒的な賞賛の嵐、拍手喝采だ(ライヴと思えぬほどの素晴らしい録音)。ルネ・フレミングの歌唱の素晴らしさもあるのだろうけれど、それだけではなく、楽曲の素晴らしさも与ってのものだろう。そう思いたい。


Renee Fleming- Proms 2007, Berg: Seven Early Songs-1