yuki-midorinomoriの日記

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天台声明(しょうみょう)『海老原廣伸 聲明の世界≪息の声 Voix Homaing≫』。交感響きあう自然宇宙の声の響き。

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天台声明・海老原廣伸『観想の種子(細川俊夫作曲)』四智漢語讃

             

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【もとの字は聲に作り、殸(けい)と耳とを組み合わせた形。殸(けい)はつるした磬(けい)(石の楽器)を殴ち鳴らす形。耳に聞こえるその鳴る音を聲(けい)といい、「おと、ひびき」の意味となる。甲骨文字(甲骨2)の字形に、磬(けい)の下に<サイ>(神への祈りの文である祝詞(のりと)を入れる器の形)を加えるのは、神をよぶための祈りを示し、磬(けい)がもと神をよぶための楽器であったことを示している。声はのちに人の「こえ」の意味に用い、また「うわさ」の意味に用いる。】(白川静『常用字解』より)
                                          <サイ>↑
「おと、ひびき」の意味の聲(けい)とは、もと神のそれであった。

きょうは、ネット図書館で借り受けた声明(しょうみょう)のアルバム『海老原廣伸 聲明の世界、息の声 Voix Homaing』。天台声明のよし。通販サイトの紹介には≪雅楽と共演している細川俊夫作曲の「観想の種子」からの2をはじめ,聲明を一人多重録音した作品。≫とのことだ。


     五 大 に み な 響 き あ り

     十 界 に 言 語 を 具 す

     六 塵 こ と ご と く 文 字 な り

     法 身 は こ れ 実 相 な り

            空海『声字実相義』

        宇宙の音響響き渡り、
        山川草木に共振して、人の声となり、
        五体くだいて言葉となり、またふたたび時空にかえってゆく。

    ≪「内外の風気わずかに発すれば、かならず響くを名づけて声というなり」≫

≪初めに釈名とは内外の風気わづかに発すればかならず響くを名づけて声という。響きは必ず声による。声はすなわち響きの本なり。声発して虚―むなし―からず、必ず物の名を表するを号して字という。名は必ず体を招く。これを実相と名づく。声字実相の三種区区に別れたるを義と名づく。また四大相触れて音響必ず応ずるを名づけて声という。五音、八音、七例、八展みなことごとく声を持って起こる。声の名を詮するは必ず文字による。文字の起こりはもとこれ六塵なり。六塵の文字は下に釈するがごとし。もし六塵合釈に約せば、声によって字あり。字はすなわち声が字なれば、依住に名を得。もし実相は声字によって顕わるれば、すなわち能有、字はすなわち所有にしてよく字の財を有すといわば、すなわち有財に名を得。声字には必ず実相有り。実相には必ず声字ありて、互相に能所たりといわばすなわち名を得ること上の如し。もし声の外に字なく、字すなわち声なりといわば、持業釈なり。もし声字の外に実相なく、声字すなわち実相なりといわば、また上の名のごとし。この義は<大日経疏>の中につぶさに説けり。文に臨んで知んぬべし。もし声字と実相と極めて相迫びに隣近に名を得たり。もし声字は仮にして理に及ばず実相は幽寂にして名を絶す。声字と実相とは異なれり。声は空しく響いて詮することなく字は上下長短にして文をなす。声と字と異なれりといわば、ならびに相違に名を立てたり。≫(『声字実相義』)

≪「さとりbuddhi」の内容は言葉にして表現できないものだということを、釈尊は「無記」といい、大乗仏教では「言亡慮絶」といい、禅では「不立文字」と言いました。仏教の伝統では、「さとり」の瞬間の感覚やイメージといった宗教的神秘体験を言葉や画像や色などで表現できないもの(「果分不可説」)としてきました。・・・ ところがです、弘法大師空海はそのことをじゅうぶん承知していながら、いとも簡単に「それ如来の説法は必ず文字による。文字の所在は六塵その体なり。六塵の本は法仏の三密すなわちこれなり。平等の三密は法界に遍じて常恒なり。五智四身は十界に具して欠けたることなし。悟れるものをば大覚と号し、迷えるものをば衆生と名づく。衆生癡暗にして自ら覚るに由なし、如来加持してその帰趣を示したもう。帰趣の本は名教にあらざれば立せず。名教の興りは声字にあらざれば成ぜず。声字分明にして実相顕わる。いはゆる声字実相とはすなわちこれ法仏平等の三密、衆生本有の曼荼なり。故に大日如来この声字実相の義を説いて、かの衆生長眠の耳を驚かしたもう。」(『声字実相義』)と言ってのけました。・・・・全宇宙には、文字や音声の秘密、言語やその意味の秘密、そしてあらゆる身体にまつわる秘密の三密が超越的に交流し、作用して応じあっている姿があるのだということです。≫(松岡正剛、自著解説ネット記事より)


まさにアルバムタイトルどおり読経、声明(しょうみょう)とは自然と響きあう≪宇宙の音響響き渡り、山川草木に共振して、人の声≫となる、その≪息の声 Voix Homaing≫だ。

≪息の声 Voix Homaing≫の声明(しょうみょう)に交感響きあう自然宇宙の実相を聴く。





天台声明『海老原廣伸 聲明の世界≪息の声 Voix Homaing≫』

1. 四智梵語
2. 四智漢語讃
3. 九條錫杖
4. 諸天讃



天台声明・海老原廣伸(対揚)



声明(しょうみょう)、お経関連投稿記事――

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