yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

イヴォ・マレク『Oral』(1967)、モーリス・オアナ『Synaxis』(1965-66)。どちらも血の濃いエモーショナルな趣を発散させて刺激的な音響空間を造形。

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Maurice Ohana : Synaxis (1/2)

             

今日は、窮して闇雲に手にしたレコードで、まったくといっていいほど記憶に残っていなかったアルバムだ。だのに、こんなにおもしろかったのか・・・、何を今まで聴いていたのだろうとの印象をもたらした一枚だった。≪ユダヤ系フランス人の作曲家。モーリス・オアナ(Maurice Ohana、1913 - 1992)と、≪クロアチアザグレブ生まれの、フランスの現代音楽、電子音響音楽の作曲家、指揮者で、音楽教育者≫のイヴォ・マレク(Ivo Malec, 1925- )の作品の収められたアルバムだ。このイヴォ・マレクは、いままで以下のごとく4稿取り上げているけれど、出来不出来がはっきりしているように見受けられる。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60055253.html フランソワ=ベルナール・マシュ『Danae』ほかの合唱曲。民族的野趣が巧みに組み込まれ力強い生命力、息づきを感じさせる良い作品。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58584327.html イヴォ・マレク『Triola』(1978)。音に喚起力が余り感じられない。出来はイマイチ。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/29377330.html 電子音響世界に感性が開いているユーゴスラビアのフランス作曲家イヴォ・マレク

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60998400.html イヴォ・マレク『3L』(1973)。時代的にも世界的にも最も沸き立っていた時代を表徴するようなエネルギーとパトスに満ちた音響造形だ。まさに肉食系!電子サウンド

イメージ 2概ね、エモーショナルな音響造形に傾向性があるようで、今日の『《Oral》役者と大オーケストラのための』もその典型的な作品だ。この≪オラルOral≫はシュルレァリスムの主導者アンドレ・ブルトン(André Breton, 1896 - 1966)の小説≪ナジャ≫から抜き出したテキストを用いた、語り手と大オーケストラのための作品だ。もう一人のモーリス・オアナも、血の濃いエモーショナルな趣を発散させて刺激的な音響空間を造形する作曲家だ。アンダルシア人の両親をもつこの作曲家は、そのアンダルシアの風景や音楽的伝統が芸術創造の活力の源泉となっているとのことで≪人間とともに生まれたかのような湧き返る空想力の流れ、古いユダヤ教会から伝わるビザンチンの歌、ギリシャ音楽、遠くアフリカにつながるベルベル族の音楽、さらにはオリエントの音楽が、この地で互いに出会ったのだ。この地はそれらを統合し、その中から汲めども尽きぬ総合体を引き出すことになる。・・・≫と述べているように、種々の民族史エネルギーのアマルガムの噴出するさまをエモーショナルに音響造形しているといえようか。
                                     写真:Maurice Ohana




イヴォ・マレク Ivo Malec 『Oral』(1967) / モーリス・オアナ Maurice Ohana 『Synaxis』(1965-66)

Tracklist:
A. Ivo Malec -
Oral 29:15
Directed By [Artistic Direction] - Ivo Malec
Voice [Speaker] - Pierre Rousseau

B. Maurice Ohana -
Synaxis 19:05
Directed By [Artistic Direction] - Maurice Ohana
Piano - Christian Ivaldi , Genevieve Joy
Zither [Cithare] - Monique Rollin


Credits:
Conductor - Charles Brück*
Orchestra - French Radio Philharmonic*
Other [Liner Notes] - Jean Roy
Other [Translated From The French By] - James Rich

Notes:
Oral for speaker and orchestra
Synaxis for 2 pianos, percussion and orchestra

Recorded by Erato, France.



Ivo Malec, Arco-11 (1975) - Part 3