yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

エリック・サティ『ピアノ・ソロ作品全集』(5枚組)。「本日休演」と看板掲げこの世からおさらばしたサティ。≪もの悲しい憂愁と透きとおった孤独。≫

イメージ 1

小杉武久,島田里璃/perspective A part1.mov

              

人間は泣きながらこの世の生を享けるといった人がいる。この世は悲しみに満ちている。いやその存在自体が悲しいといったひとがいる。≪私のは「悲しみ呆け」だと思ふのでございます。≫とコトバ紡いだ中原中也であり、「みんな自分たちのしたいことをちょっとやりすぎると、君は思わないかい」と時代の過剰豪奢を嗤った、きょうのエリック・サティ(Erik Alfred Leslie Satie、1866 - 1925)。

イメージ 2【・・・98年にアルクーユに居を移してからは終生独身のまま、その土地にとどまり最晩年には病気のため思うように活動ができず聖ジョゼフ病院で亡くなった。・・・・。何かもの悲しさが漂ってくる人生行路ではある。最後の作品は≪振り付けも台本もダンサーの即興で行い、・・・・ 劇の幕間には映画が上映された。その映画ではらくだが引いた霊柩車からジャン・ボルランが飛び出したり、テラスでマン・レイデュシャンがチェスをしたり、空からエリック・サティとピカビアが降りてきてパリめがけて大砲をうつなどといった、全くストーリー性のない作品≫でそのタイトルは『本日休演』だったそうである。・・・】

                        写真:サティ『パラード(Parade)
                        Character from Parade by Jean Cocteau and Eric Satie
                        Decor and Costumes by Pablo Picasso, Paris, May 1917



<写実の極致、やるせない人間の息づき――それを慈悲といふ>(高島野十郎遺稿ノート

この脱俗孤高の画家高島野十郎遺偈(ゆいげ)に以下がある。

    「足音を立てず
     靴跡を残さず
     空気を動かさず
     寺門を出る
     さて
     袖を拂ひ
     裳をたゝひて
     去り歩し行く
     明々朗々遍無方」

さて、貧しいことだけれど、わたしのエリック・サティはいままで投稿したわずかの記事のタイトルに記した言葉で尽くされてしまっている。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55231666.html エリック・サティ『ピアノ音楽全集』CD5枚組み。シンプルさがもの悲しい憂愁と透きとおった孤独をいっそう際立たせる。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/52596350.html エリック・サティ。もの悲しい憂愁と透きとおった孤独。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/38048276.html シンプルさに、もの悲しい憂愁を漂わす高橋悠治演奏の『エリックサティ・ピアノ作品集』

先にいった<悲しみ>しか言葉が出てこない。いつ聴いてもおなじくりかえしだ。

ネット図書館で借り受けた、きょうのジャン=イヴ・ティボーデ(Jean-Yves Thibaudet, 1961 - )の師であるアルド・チッコリーニ(Aldo Ciccolini, 1925 - )の5枚組みのサティ作品全集をすでに投稿しているのだけれど、また聴きたくなったので・・・。
べつに演奏比較などとたいそれた事を目論んでのことではなく。ただシンプルな音楽をと。それだけです。




サティ『ピアノ・ソロComplete Solo Piano作品全集』(5枚組)

トラックリスト:
[Disc 1]
013つのサラバンド
023つのジムノペディ
03グノシェンヌ第5番
043つのグノシェンヌ
05グノシェンヌ第4番/第6番/第7番
06舞踏のための小序曲
07冷たい小品
08夢見る魚
09アンゴラの牛

[Disc 2]〈若い頃の作品〉
01アレグロ
02ワルツ=バレエ
03幻想曲=ワルツ
04若い令嬢のためにノルマンディの騎士によって催された祝宴
054つのオジー
06ばら十字教団の最初の思想
07「至高存在」のライトモティー
08ばら十字教団の鐘の音
09ゴチック舞曲 (わが魂の最も大いなる静けさと堅固なる平穏のための9日間の祈祷))
10ヴェクサシオン
11モデレ
12世俗的で豪華な唱句
〈カフェコンセールとミュージックホール〉
13ジュ・トゥ・ヴ
14やさしく
15金粉
16エンパイア劇場の歌姫
17ピカデリー
18カリフォルニアの伝説
19風変わりな美女

[Disc 3]〈スコラ・カントルムの課題曲〉
01パッサカリア
02壁掛けとしての前奏曲
03フーガ=ワルツ
04新・冷たい小品集
05悪い手本
06快い絶望
07厚かまし
08詩
09深遠
10くぼんだ夢
11無口な囚人
12大猿
1312の小コラール
14犬の前奏曲
15裏話
16コ・クオの少年時代 (母親の忠告)
17 (新・子供の曲集)
18短い子供のお話
19絵に描いたような子供らしさ
20はた迷惑な微罪
〈晩年の作品〉
21夜想曲集
22最初のメヌエット
23パンタグリュエルの幼年時代の夢
24映画 (ミヨー編)

[Disc 4]〈気まぐれな作品〉
01犬のためのぶよぶよした前奏曲
02 (犬のための)本当にぶよぶよした前奏曲
03自動記述法
04ひからびた胎児
05太った木の人形のスケッチとからかい
06あらゆる意味にでっちあげられた数章
07古い金貨と古い鎧
08スポーツと気晴らし
09世紀ごとの時間と瞬間的な時間
10いやな気取り屋の3つのワルツ
11最後から2番目の思想
12官僚的なソナティナ
〈劇上演用音楽〉
13「星たちの息子」への3つの前奏曲

[Disc 5]
01ナザレびとの前奏曲
02エジナールの前奏曲
03ユスピュ (3幕の宗教バレエ)
04天国の英雄的な門への前奏曲
05びっくり箱のジャック
06「ムッシュ氏の死」への小さなプレリュード
07アンダルシアの歌 (「愛を呼び覚まして」のための)
08「メデューサの罠」の7つの小さなダンス
09操り人形は踊っている
10「真夏の夜の夢」のための5つのしかめ面 (ミヨー編)
11ラグタイム・パラード



Jean-Yves Thibaudet - Gymnopédie #1 & Gnossienne #1 [ Erik Satie ]