yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ジョーン・キャロル『現代の独白』。ストラヴィンスキーが日本の歌(短歌)を元歌にもつ抒情詩を歌曲にしている。

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Igor Stravinsky: Three Japanese Lyrics (1913) I. Akahito II. Mazatsumi III. Tsaraiuki / Evelyn Lear, soprano; Columbia Symphony, cond. Robert Craft. Art by Tensho Shubun.

             
             投稿音源のものではありません。

      Lgor Strawinsky:
      Drei japanische Liedr

      Akahito
      Descendons au jardin,je voulais te
      Montrer 1es fleurs b1anches.
      La neige tombe.
      Tout est fleurs ici'
      Ou neige blanche?

      Mazatsumi
      Avri1 parait. Brisant la glace
      de1eur ecorce bondissent
      joyeux dans le ruisselet
      des flots ecumeux.
      Ils veu1ent etre les premieres
      fleurs blanches
      du joyeux printemps.

      Tsaraiuki
      Qu’apercoit-on si blanc au 1oin?
      On dirait partout des nuages
      entre le collines:
      Les cerisiers epanouis fetent
      enfin l'arrivee du printemps.

      イゴール・ストラヴィンスキー
      三つの日本の抒情詩

      アカヒト(赤人)
      庭に下りよう .私はおまえに
      白い花を見せてあげたい.
      雪が降つている.
      ここではすぺてが花か,
      または白い雪だろうか.

      マツァツミ(嘗純)
      四月が現われ,
      泡立つ波の小さな流れの中で,
      楽しげにとぴはねる
      氷の殼をくだいている.
      波は,楽しい春を告げる,
      さきがけの白い花にでも
      なろうとしているかのようだ.

      ツァラユキ(貫之)
      かなたに, かくも白く見ゆるは何?
      いずくでも,
      小山の間にかかる雲と云う.
      開いた桜花が,
      春の到来をようやく祝っているものを.

           (同梱解説書より引用)

さほど感興もたせる曲というわけでもない(歌曲ということもある)のだけれど、ストラヴィンスキーが日本の歌(短歌)を元歌にもつ抒情詩を歌曲にしているといるという意外性の認知と、この曲が動画音源サイトにアップロードされているのに出くわし、投稿となった。この僅か3分に満たない小品は、かの作曲家にとってのみならず音楽史的傑作の「春の祭典」(1911~13/3)の作曲時期、その後半の1912年の10月から翌13年1月にかけて作曲されたもののよし。

同梱解説書によると、その抒情詩の元歌は以下とのことだけれど(ただ、山部赤人の歌はネットには見当たらなかった。)


さくら花咲きちりくらししかすがに白雪に似て庭にふりつつ (山部赤人

谷風にとくる氷のひまごとに打ち出づる波や春の初花 (源當純 みなもとのまさずみ)

桜花 さきにけらしな あしひきの 山のかひより 見ゆる白雲  (紀貫之






ジョーン・キャロルJoan Carroll『現代の独白』

A.ストラヴィンスキー:日本の3つの抒情詩(1.赤人、2.當純、3.貫之),2つの歌曲(1.わすれな草、2.はと)
ヘンリク・グレツキ:ソプラノと3つの楽器群のためのモノローグ

B.アルベルト・ライマン:ソプラノとオーケストラのためのモノローグ「イナーネ」
独WERGO/WER 60056

イメージ 2(*ジョーン・キャロル:米国フィラデルフィア生まれ。1957年ニューヨーク・シティ・オペラと契約出演、1959年渡独、ハンブルク・オペラと契約。1961年以後ヨーロッパの地にてオペラ出演。ベルクの「ルル」への出演以来、現代音楽の分野で注目をあつめる。)



Aribert Reimann ~ Solo(cello)