与謝蕪村『閻王の口や牡丹を吐んとす』。
1週間前に投稿した≪NHKスペシャル『巨大津波“いのち”をどう守るのか』。「ただ・・・、・・・逃げるだけです。」≫に貼り付けた牡丹の花が、記事内容とはマッチしていないなと思ったのだけれど5月の花ということもあり、ま、いいかと。で、牡丹といえば鮮烈なイメージでわが胸に記憶されているのが蕪村(よさ ぶそん、よさの ぶそん、享保元年(1716年) - 天明3年12月25日(1784年1月17日))の句の「閻王の口や牡丹を吐んとす」だということで、その句をも一緒にはりつけたのだが。しかしこの場合の牡丹は、イメージとしてはやはり、白ではなく紅(あか)でしょう。閻魔大王にはやはり紅(あか)こそふさわしい。そんなことを思いつつ、春の陽光に誘われでもしたようにチャリンコ(ママチャリです)に乗って蕪村生誕の地、大阪・都島の毛馬にあるとネット検索で知った「蕪村(顕彰)公園」の蕪村句碑を見ようと大川べりをサイクリングしてきた。実家からおよそ20分ほどの距離でしかないのだけれど・・・。耳にはウオークマンをあてて(聴くのはなぜか、いつもベートーヴェンのピアノコンチェルト第5)。で、その折、携帯電話のカメラに撮ってきた画像を貼り付けてきょうは擱くことにしよう。
以下は、句碑より。
春 の 海 終 日 の た り の た り か な な の 花 や 月 は 東 に 日 は 西 に 遅 き 日 の つ も り て 遠 き む か し 哉 夏 河 を 越 す う れ し さ よ 手 に 草 履 閻 王 の 口 や 牡 丹 を 吐 ん と す 夕 風 や 水 青 鷺 の 脛 を う つ い な 妻 や 浪 も て ゆ へ る 秋 津 し ま 鳥 羽 殿 へ 五 六 騎 い そ ぐ 野 分 哉 か な し さ や 釣 の 糸 ふ く 秋 の 風 楠 の 根 を 静 に ぬ ら す し ぐ れ 哉 斧 入 れ て 香 に お ど ろ く や 冬 木 立 芭 蕉 去 て そ の の ち い ま だ 年 く れ ず 柳 散 り 清 水 涸 れ 石 処 々
それにしても、「閻王の口や牡丹を吐んとす」は、その喚起するイメージはひじょうに鮮烈なんだけれど、はてどう解釈し、ことばを紡いだものやら・・・。かつて若き日に読んだ本(これは名著です。いや、だそうです。)を引っ張りだしてきたものの、不明だった。