松岡正剛 『切ない言葉』。
「生まれてきたのに、ここまで来たのに、あんな時もあったのに。」 「熱かろうと、涼しかろうと、世の中もぼくの一日もどんどんと過ぎてゆく。有為は転変、有為の奥山さえ「けふ」も越えられていく。そんなことをいちいち実感するようになったのは、この数年のことであるが、ひとつひとつ出来事が前後にわずかな「楔の跡」や「轍の跡」を残して終わっていくことが、最近はとくにゆっくり見える。」
こんな正剛本が出ているとは知らなんだ。ネット図書館検索で捕捉。さっそく借り受けた。正剛本は最近とみに読者が増えているのか、ほとんど新刊という新刊は予約待ち(30数人待ちというのもあった。ひとり2週間だから、ウーン。)なのだけれど。タイミングがよかったのだろう。松岡正剛がいままで紡ぎだしてきた「言葉」のアンソロジーといった趣の読み物。この言語感覚は詩人以上にイマジネイティヴで、1971年創刊されたオブジェマガジン「遊」以来のおつきあいだ。