ハインリッヒ・シュッツ『葬送音楽(ドイツ・レクイエム)/十字架上のキリストの7つの言葉』。簡素な佇まいと崇高さ。
1年半ほどまえ≪ハインリッヒ・シュッツ『マタイ受難曲 SWV.479』。アカペラ(無伴奏)。何と簡素な、しかし厳粛と秘めたる信仰の強さを感じさせることだろう。簡素な佇まいに崇高さを伴う。≫と印象して投稿している。紡ぎだすことばをこれ以上に持ち合わせているわけではないのだけれど、ネット図書館で、そのシュッツ(Heinrich Schütz, 1585 - 1672)の『葬送音楽(ドイツ・レクイエム)/十字架上のキリストの7つの言葉 German Requiem / Seven Last Words Of Christ』を借り受けて鑑賞した。ただ神的崇高、厳粛に身をひたし、静穏に心落ち着けたいとのちょっとした気まぐれで借りたにすぎないのだけれど。死ねばすべて無に帰すと思えばこそ・・・の希求ではある。
「イエス様のことを愛してますって言っても、
まばたきひとつしやしない。
なんにも聞こえてこない。
でもすっごく落ちこんでイエス様のことなんか思っていないとき、
自分のことで頭がいっぱいで、
あたしたち兄弟がどうなるのか心配しているときなんか、
急に話しかけてきてびっくりすることがある。」
まばたきひとつしやしない。
なんにも聞こえてこない。
でもすっごく落ちこんでイエス様のことなんか思っていないとき、
自分のことで頭がいっぱいで、
あたしたち兄弟がどうなるのか心配しているときなんか、
急に話しかけてきてびっくりすることがある。」
(『子供の神秘生活―生と死、神・宇宙をめぐる証言』。より)
≪よく晴れた日だった。三時過ぎになって、太陽が西へ傾きはじめると、その赤い斜めの光線がまっすぐに部屋の壁に当たって、鮮やかな斑点となってその場所を照らし出すのを、おれは知っていた。おれはそれが前の何日かの経験でよくわかっていた。そして一時間後には必ずそのとおりになる。しかもなにより問題なのは、ニニが四というくらい正確に、おれには前もってそれがわかっているということが、腹の中が煮えくり返るくらいおれには癪にさわってならなかった。おれは発作的に大きく寝返りを打った。ところが突然、物音一つ聞こえない静寂を破って『われらが主、イエス・キリスト、なにとぞ我らを憐れみたまえ』という言葉が、はっきりとおれの耳に聞こえたではないか。その言葉はなかばささやくような声で、そのあとに胸いっぱいの深い溜め息がつづいた。そしてあたりは再びひっそりと静まり返った≫(ドストエフスキー『未成年』第三部第一章)
<足ばかりの神さま>
あぐらをかいているその男は
たしか神さまをみたことがある
おわりもなく
はじめもない生涯の
どのあたりにいまいるのかを
とめどなくおもい
めぐらしていたときだ
まあたらしいごむの長靴をはいた
足ばかりの神さまが
まずしげなその思考を
ゆっくりとまたいで
行かれたのだ
じつに足ばかりの
神様であった
あぐらをかいていたその男が
そのときたちあがったとは
どの本にも書いていない
(石原吉郎「サンチョ・パンサの帰郷」より)
たしか神さまをみたことがある
おわりもなく
はじめもない生涯の
どのあたりにいまいるのかを
とめどなくおもい
めぐらしていたときだ
まあたらしいごむの長靴をはいた
足ばかりの神さまが
まずしげなその思考を
ゆっくりとまたいで
行かれたのだ
じつに足ばかりの
神様であった
あぐらをかいていたその男が
そのときたちあがったとは
どの本にも書いていない
(石原吉郎「サンチョ・パンサの帰郷」より)
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/39211097.html ≪信仰は確信ではない。不安である。≫
ハインリッヒ・シュッツ Heinrich SCHÜTZ『葬送音楽(ドイツ・レクイエム)/十字架上のキリストの7つの言葉 Schutz: German Requiem / Seven Last Words Of Christ』
Heinrich SCHÜTZ (1585-1672)
German Requiem
Musicalische Exequien (SWV 279 ・281) [29:02]
Die sieben Worte Jesu Christi am Kreuz (SWV 478) [17:18]
Die mit Tränen säen (SWV 378) [03:41]
So fahr ich hin zu Jesu Christ (SWV 379) [02:50]
German Requiem
Musicalische Exequien (SWV 279 ・281) [29:02]
Die sieben Worte Jesu Christi am Kreuz (SWV 478) [17:18]
Die mit Tränen säen (SWV 378) [03:41]
So fahr ich hin zu Jesu Christ (SWV 379) [02:50]