『100万回生きたねこ』。自分より好きなひとのために、100万回も泣くほどにひとりを愛する。
先日、購読新聞のコラムに惹かれて、町の図書館の子ども絵本コーナーから借り受けてきたのが佐野洋子(さの ようこ、1938 - 2010)の『100万回生きたねこ』。この本はほとんど常時貸し出し中でなかなかの人気絵本のようだ。タイミングよかったのだろう。
そのコラムにあった作家・佐野洋子の以下のことばに頷いたのだった。
【 「普通の人はさ、がんになるとがんと闘うっていうドキュメンタリーを作ったりするじゃない。私ああいうのバカバカしくってしょうがないのよね。死ぬときや死ぬんだから」 】
これは、今12月上旬に公開される『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』の劈頭に流れる作家自らのことばのよし。(病を得てのちのドキュメンタリーゆえ作家本人の撮影はなされていないそうだ)
そう云えば、46才にして、おなじくがんで亡くなった作家の中上健次もオレは闘病記なんぞは書かないと云っていたと記憶するが。
この直截な死生観。だからこその『100万回生きたねこ』なのではと。
ほんとうにひとりを愛する・・・自分より好きなひとを愛する。それこそがいっとう大切なことだ。自分より好きなひとのために100万回も泣くほどに。
「100万回死んだ・・・」ではなく、「生きた・・・」がタイトルであるように。
そのものがたりもさることながら、絵がすばらしいというか魅力があります。
そのものがたりもさることながら、絵がすばらしいというか魅力があります。