yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

グバイドゥーリナ『オルフェウスの竪琴、太陽の讃歌』。認識としての、方法としての音楽。世界の存在は開示される。その神秘を開け示す音楽精神の繊細と強靭。

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Sofia Gubaidulina — The Lyre Of Orpheus

        

 ソフィア・グバイドゥーリナについて

 なんと豊かな音と静寂が存在するのだろう。不可視の領域に近づくため、なんと豊かな創意工夫が込められているのだろう。偉大な力を音楽の中に繊細に反映させるソフィア・グバイドゥーリナによつて、音楽の王国に通じる鍵を手にした幸運を我々は感謝せねばならない。彼女の努力はすぐに報われ、永遠に続くだろう。あなたの素晴らしい世界を、我々すべてに惜しみなく分け与えてくれた、親愛なるソフィアに感謝を述べたい。

                                  -ギドン・クレーメル

認識としての、方法としての音楽。世界の存在は開示される。その神秘を開け示す音楽精神の繊細と強靭。まずそのことを綴っておこう。美の前に言葉は沈黙せねばならないとか・・・。しかし未だ姿をなさぬ何かを開示する音、響きの提示の真正をこの現代音楽に聴く。驚くべし、この深さ。自然からの応答にイメージ 2感応する術。これ以上の至福、醍醐味はない。すばらしい現代女性作曲家ソフィア・グバイドゥーリナ(Sofia Gubaidulina, 1931 - )。


Sofia Gubaidulina - The Canticle of the Sun of St Francis of Assisi part I, Chór Polskiego Radia


Sofia Gubaidulina - The Canticle of the Sun of St Francis of Assisi part IV, Chór Polskiego Radia


太陽の讃歌

いと高き、全能にして善良なる主よ!
讃歌、栄光、名誉、祝福は、すべてあなたのためにある。
これらはみな、いと高きあなたのもの。
何人も、あなたの名を□にするに値せず。

讃えられよ、主よ、あらゆる被造物を通じて。
とりわけ兄弟たる太陽を通じて讃えられよ。
主は太陽によって昼を造り、彼によって我らを
照らし給う。
しかも、太陽は美しく光り輝き、
その偉大なる輝きの中に、
いと高き主の似姿が現れる。

讃えられよ、主よ、姉妹たる月と星々を通じて。
主は天に彼女たちを造り、
高貫で美しい光を与えて下さった。

讃えられよ、主よ、兄弟たる風、大気、雲、嵐、
天候すべてを通じて。
主はこれらによって、被造物の生命を支えてくださる。

讃えられよ、主よ、姉妹たる水を通じて。
水は有益であり、謙虚であり、
高貴で純粋である。

讃えられよ、主よ、兄弟たる火を通じて。
あなたは火を用いて、夜を明々と照らし出した。
火は美しく、明るく、健やかで力強い。

讃えられよ、主よ、姉妹にして母たる大地を通じて。
大地は我らに糧を与え、我らを守り、
さまざまな果実と色とりどりの花と草木を産み出す。

讃えられよ、主よ、主の愛のために赦し、
病と苦役を耐え忍ぶ人々を通じて。
平安のうちに困難な生活を生き抜き、
いと高き主より冠を授かる者は
幸いなるかな。
主よ、我らを憐れみ給え。アーメン。

讃えられよ、主よ、我らの姉妹たる肉体の死を通じて。
何人も、死の抱擁から逃れることはできない。
大罪を犯して死す者に、災いあれ!
主の聖なる御旨のうちに死を迎える者は、幸いかな。
御旨のうちに迎える死は、何人も損なわぬ。

主を讃え、祝福せよ、
主に感謝を示し、大いなる謙虚のうちに
主に仕えよ。

訳・編:前島秀国

   (上記引用、同梱冊子より)


グバイドゥーリナオルフェウスの竪琴、太陽の讃歌』

1. オルフェウスの竪琴
2. 太陽の讃歌 創造主と被造物-太陽と月-の讃歌
3. 太陽の讃歌 創造主と四元素(空気、水、火、土)の讃歌
4. 太陽の讃歌 生命の讃歌
5. 太陽の讃歌 死の讃歌




グバイドゥーリナ、関連投稿記事――

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http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50607821.html 民族性の遠い記憶を奏でるバヤン。宗教的でありノスタルジック、スピリチュアルな魅力。グバイドゥーリナ「Seven Words(for violoncello,bayan and strings)」ほか。

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http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54306351.html グバイドゥーリナグレツキほかの東欧および旧ソ連圏作曲家の作品集『モザイクMOSAIC』(1996)。≪旧東側の作曲家たちの音楽に特有な、「聴きごたえ」とは一体、何なのか?≫

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55004198.html ソフィア・グバイドゥーリナ『オッフェルトリウム Offertorium 』。祈りと哀しみに満ちた世界は霊妙な余情のうちに示現する。単なる意匠を越えた強靭な精神の裏づけにたじろぐことだろう。