『タケミツ 愛の歌』(福原久美)。そこはかとなく哀しい余韻。固苦しく構える芸術歌曲じゃない。むしろポップだといえなくもない。
三月のうた 作詞・谷川俊太郎
わたしは花を捨てて行く
ものみな芽吹く三月に
ものみな芽吹く三月に
わたしは道を捨てて行く
子等のかけだす三月に
子等のかけだす三月に
わたしは愛だけを抱いて行く
よろこびとおそれとおまえ
おまえの笑う三月に
よろこびとおそれとおまえ
おまえの笑う三月に
武満徹はシャンソンとジャズが好きだった。たぶん世代的なものもあったのだろう。国破れ焦土と化した向こうから音連れ流れてきた音楽。だからなのか、それとも「うた」にもつ作曲家のイメージゆえなのか。いわゆる歌曲とはちがう。固苦しく構える芸術歌曲じゃない。むしろポップだといえなくもない。
クラシック畑の歌手より、ポップス系の歌手の方が自然体に聴ける。
そこはかとなく哀しい余韻をもつ詩句を好みとするようだ。お決まりの声高な表現、文化人じみた高みからの説教くさい重い主張を嫌う。
夕空みたら 教会の窓の
ステンドグラスが 真赤に燃えてた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
こどもの頃を 憶いだした
ステンドグラスが 真赤に燃えてた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
こどもの頃を 憶いだした
夜空をみたら 小さな星が
涙のように 光っていた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
こどもの頃を 憶いだした
涙のように 光っていた
いたずらが過ぎて 叱られて泣いた
こどもの頃を 憶いだした
死んだ女の残したものは
しおれた花とひとりの子ども
他には何も残さなかった
着もの一枚残さなかった
しおれた花とひとりの子ども
他には何も残さなかった
着もの一枚残さなかった
死んだ子どもの残したものは
ねじれた脚と乾いた涙
他には何も残さなかった
思い出ひとつ残さなかった
ねじれた脚と乾いた涙
他には何も残さなかった
思い出ひとつ残さなかった
死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった
死んだかれらの残したものは
生きてるわたし生きてるあなた
他には誰も残っていない
他には誰も残っていない
生きてるわたし生きてるあなた
他には誰も残っていない
他には誰も残っていない
死んだ歴史の残したものは
輝く今日とまた来るあした
他には何も残っていない
他には何も残っていない
輝く今日とまた来るあした
他には何も残っていない
他には何も残っていない
『タケミツ 愛の歌』
1. めぐり逢い
2. 翼
3. 3月のうた
4. 小さな部屋で
5. 燃える秋
6. うたうだけ
7. 島へ
8. 小さな空
9. さようなら
10. 見えないこども
11. 昨日のしみ
12. MI・YO・TA
13. 翼 ~ピアノバージョン~
2. 翼
3. 3月のうた
4. 小さな部屋で
5. 燃える秋
6. うたうだけ
7. 島へ
8. 小さな空
9. さようなら
10. 見えないこども
11. 昨日のしみ
12. MI・YO・TA
13. 翼 ~ピアノバージョン~