yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

あなたに<素>の世界へ誘う革命家ジョン・ケージ

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    http://www.youtube.com/watch?v=e4zW6rgMHqQ&feature=related John Cage - String Quartet (1950) - 1. Quietly flowing along
    http://www.youtube.com/watch?v=3EPJv7su9Wo Witold Lutosławski - String Quartet - I. Introductory Movement

この面白くも無いジャッケットデザインには聊か興ざめするが、中身は現代音楽としてはまず歴史に残る名曲といえると思う。あの余りにも有名なピアノ曲4分33秒>(1952年発表)より3年ほど前の、ケージが東洋や禅に惹かれていた頃の作品と解説者の柴田南雄が記している。鈴木大拙の禅の講演を聴いていた時、会場の開け放たれていた窓から聞こえる外の自然の音にいたく感動した。それがあの奏者がピアノの前にたたずみ、一音も弾かずに会場のざわつきの内に演奏が終わるという、余りにも有名なパフォーマンスの思想的背景にあったそうである。芸術作品という枠組みを取っ払ったときに現れる素の音、意味づけられる前の純な音に耳を、意識を澄まそう。そんなメーセージでもあっただろう。そのような感性が既に感ぜられるケージ革命以前の優れた弦楽四重奏曲である。なにやらヨーロッパ中世の音楽のようなシンプルで心休まる静かな音の流れ、とりわけ「奏者はヴィブラートなしで、最小の圧力を弓にかけて弾くこと」との指示があるそうである。それがいっそう余計なものをこそぎ落とした純なやさしい、西洋音楽には無い東洋的感性の音の世界となっている。エリックサティーピアノ曲に惹かれる人にはこの良さがより一層了解出来るのでは。もう1曲のルトスラフスキーの弦楽四重奏曲もこれまた歴史に残る名曲であろう。極めて精神的密度の濃い引き締まった音楽には、現代音楽に余り関心を持たず食わず嫌いの方々にも分かっていただけるものと思いますが。是非とものオススメ2作品です