yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

イギリスに成果達成されたINCUS・フリージャズ

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Evan Parker / Derek Bailey - Topography of the Lungs - Fixed elsewhere http://www.youtube.com/watch?v=JQMCDGQFIRw

ドイツフリージャズの展開推進の中心は私の狭い鑑賞体験からは、(ところでいはずもがなですが私は音楽評論家、音楽学者でもなく単なる好事家、それも30数年前の、でしかありませんのでそれらの範囲での判断でしかないことをおことわりしておきますが、)FMPであったと思います。ハンベニンク、ブロッツマン、ホーヴらを主要メンバーとして精力的に活動していた。商業的にも受け入れられていたマンゲルスドルフ、マンフレッド・ショーフ、シュリッペンバッハ、らをも巻き込んでのムーブメントであった。オランダ、ベルギー、オーストリア、イギリスと国籍もさまざまで、実に多くのミュージシャンらの参加による記録がFMPによって残されている。このFMP、ICPに対してイギリスを中心にフリージャズを推進していたのが、このINCUSであった。ここに採り上げるそのレーベルのファーストアルバム<The Topography of The Lungs>がこれで、実に興味深いインプロヴィゼーションとなっている。とりわけギターのデレク・ベイリーの参加とエヴァン・パーカーとの絡みがこのアルバムを極めて特異な音作りの作品にしている。パーカーのサックスは、ブロッツマンの外にむかう精神の発露に対し対照的に、私には、内へ向かってのインテリジェンスな激情をその風貌ともども感じさせる。音楽をそれとして意味づけ、馴れ合いに流され浮れさせる既存の価値形成に与る物の徹底的な排除から奏される音の無機的なまでの世界。このようなフリージャズがファーストアルバムであることの意義はひとえにデレク・ベイリーの存在にあるのではと思う。日本のフリージャズにとって山下洋輔の貢献偉大さはなんら変わることも無いが、激しさの中にも節度あるリリシズム、徹底性を避けた賢明さを良しとするかしないか。そこら辺りが彼らのフリージャズとの評価の分かれ目なのかとも思う。当時評論家諸氏は、ヨーロッパフリージャズに対して故人、<間章>以外さほどの評価をしていなかった記憶がありますが。さすがというべきか、少し後とはいえアンテナが鋭い松岡正剛の編集雑誌<オブジェマガジン 遊>にてデレク・ベイリーヤニス・クセナキスの各々の対談記事が掲載されていたことには唸ったものでした。採り上げながら変な話ではありますが是非、とまで薦めません。フリージャズ嫌いとなられるのも辛いことですから。しかしここには70年前後の確かな成果達成があると私には思われます。





Evan Parker / Derek Bailey / Han Bennink『The Topography of the Lungs』(1970)

Notes:
The CD reissue contains two bonus tracks from the same session.

Tracklist:
Titan Moon
For Peter B. & Peter K.
Fixed Elsewhere
Dogmeat