yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

コンピューターと1/Fゆらぎの音響世界に遊ぶデビッド・バーマン

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     http://www.youtube.com/watch?v=zcjHQQxAJlk David Behrman - On the Other Ocean (excerpt)

デビッド・バーマンDAVID BEHRMANのこのアルバムではコンピューターもひとりの演奏者である。コンピューターが人間の奏する音に応えプログラミングのもとに音を発するというシステムで創り上げられた作品らしいのだ。いわば機械というファンクションをその演奏ループに介在させた音世界の提示ということであろう。ここにも持続音・ドローンが通奏され<FIGURE IN A CLEARING>の一曲ではチェロの発する音がコンピューターの介在をもって六つのピッチの組み替えでゆったりとした変化をもってインプロヴァイズされて重ねられゆく。他面の<ON THE OTHER OCEAN>も同様フルート、バスーンの管楽器とエレクトロニクス機器およびコンピューターとのインターラクティヴなループから生み出された作品である。ここにも持続音・ドローンが通奏され各楽器、電子機器の発する音がその上に波乗りするがごとくさまざまな組み替えをもってインターラクティヴに重ねられ極めて穏やかな変化のうちにインド音楽が持つかのような瞑想の世界へと音楽は導かれ流れてゆく。そうした緩やかなウエーブ音がもたらすハーモニーの言いようのない落ち着きのある精神世界はどうしてこうも人を惹きつけ慰撫するのだろうか。いわゆる1/fゆらぎというものであろうか。自然界はあまねくそうした人間の精神に心地よさをもたらす1/fゆらぎをもっているといわれて久しい。日本の鐘特有の響きの余韻、穏やかに打ち寄せる波の音、自然がもたらすそよぐ風の変化、果ては道路上の車の走行のありようまでがそうした揺らぎを持っているらしいのだ。人間の脳波、心拍のゆらぎ、地球を含む太陽系それ自体もそうした揺らぎを持つというにいたっては、なにやらゆらぎにこそ自然存在の秘密が宿っていそうだともいいたくなる。最近の知見では遺伝情報DNA配列までが1/fゆらぎを持つとして研究されているらしいのだ。まさに人は揺らぎのウエーブの子守唄に、その自らの自然の出自を確認し安らいでいるのかもしれない。人が創り出した脳の外化でもあるコンピューター、電子機器との音のループするコラボレイションでやすらぎの音響世界を見事に創出し得ている事に感じ入ったアルバムである。