yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

現代にモノ(霊)語る(フランソワ)・ベルナール・バシェ兄弟の音響造形彫刻楽器

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=== Jacques Lasry - Chronophagie [3/4] ===
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障害者および子供たちのための音響造形彫刻楽器を創作した(フランソワ)・ベルナール・バシェ兄弟Bernard Baschet(フランス・1920~)のさまざまな楽器を使ってのジャック・ラシュリーJacques Lasryの作品がレコード化されたたものである。そうした彫刻楽器は単なる造形意志だけから来るものではなく、音響学の研究追求と共に形態と音響との関係の探求など工学の裏づけのもとに創作されたものらしい。形態のその必然性も音それ自体にあるという訳だろう。本来音符などの音楽にとっては基本的な要素、また知識、演奏技術などを音楽成立の前提条件とせずに誰もが楽しく音と戯れ遊ぶことが出来ることを意図して音響的にも視覚的にも新しい芸術作品として、造形・感覚を確保したものだそうである。このアルバム『CHRONOPHAGIE』では、ごく普通のアコースティック楽器と、(フランソワ)ベルナール・バシェ兄弟の彫刻楽器を使っての音響作品となっているので、とりわけそれとしてのコメントが無ければ聞きなれぬ音が聴ける作品としか思えないだろう。そうした彫刻楽器から引き出されている音の多くがなんとも不可思議な始原的な印象を醸すのである。電子処理された音で無いだけにより一層その感が強く、まさにモノ(霊)が語りだしているかのようなのである。このアルバム作品が視覚的な要素を持った映像音楽であればなお一層の興味を誘うのであろうが、もちろんその彫刻楽器の創作意図どおりに音楽の知識のみならず演奏技術も持たぬ人間が触れ、また扱い次第でいかようにも奏でる音と遊び戯れる実体験が枢要であることは言うまでもない事である。イタリア未来派・フュートュリストのルイジ・ルッソロの創作楽器も有名であるが、楽器の造形性の意図が(フランソワ)ベルナール・バシェ兄弟とは先ほどの説明から分かるように明確な違いがある。彼ら兄弟の彫刻楽器を目前にした者が見る楽しみ、触れる喜び、奏でる音との交歓、正に音連れる世界との初源の出逢いには、遠き昔鈴の音に神を呼び、そこはかとなく吹く風の音に神の気配を感じ、うち叩く鼓の音に地の霊を鎮めることを目し、また力の所在を示すというように、世界宇宙に放り出された人間が自らが切り離された自然を希求する孤独な悲哀の存在性を感じなくは無い。そうした人間の感性を深く始原に呼び起こすマッサージの効能があるようだ。まさに音響造形彫刻楽器による、自然性から遠く離れてしまった現代人の初源の人間感性の目覚め、出逢いというところであろうか。



'''le cristal et structures sonores de bernard baschet,'''
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