yuki-midorinomoriの日記

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折り目正しく真正なルトスラフスキーの現代音楽

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              Witold Lutoslawski - 2nd Paroles Tissees
              http://www.youtube.com/watch?v=NkQR7grKeew

世の我が作曲家諸氏に、御託を並べる前に作曲せよといいたくなるくらいの真正に見事な作品であろう。書法・スタイルというのであろうか、特殊奏法を使おうが、トーンクラスターを使おうが、はっきりとそれと察せられるオリジナリティはきわだつものである。武満徹には誰しもがしじまから幽玄とでもいう流麗に浮かんでは消え入るそれと気づくトーンがあり、イサン・ユンにもしなるような緊迫のそれと分かるトーンスタイルがある。そうした独創の音の響きをものするには研鑽と、感性に天性のものがあればこそであるのは言うまでもないのであろうが、それ以上に哲学・思想に与かるところ大といいたくなる。とりわけ武満徹のものした文章に接すると了解できるように、その詩的文学的感性は並外れているといっても否定しがたいものがあり、言葉への研ぎ澄まされた感性は多分に彼の優れた作品を創り出す源泉でもあっただろう。別段ここにその師、滝口修造の名を出す必要もないだろうけれど。それはともかく、とってつけたようなさまざまな新技法の羅列の作品などを聴くととりわけそうした思想・哲学などによる裏づけの底の浅さの思いを強くする。誰々とはいわないが、賞を受けそれなりに評価されている作曲家にも散見する。ひょっとして私の鑑識眼が怪しいのかもしれないのでこれ以上見栄をはることはやめておこう。また一介のかたよった現代音楽フアンでしかないのだから自分を貶めることになる勝手な批判は慎んでおこう。それにしてもこのアルバムに収録されているルトスラフスキーの「交響曲第二番」は作曲家(1913生まれ)当年53歳の作とある。およそ20年近い後世代になる母国ポーランドのペンデレツキなどの華々しい活躍を横目にしての大きな作風の変貌を経た作品、とのコメントが解説者柴田南雄によってなされているが、べつだん否定的なそれではないものの確かなことらしい。しかしこうした優れた作品を聴けば何ほどのことでもなく、極めて肯定的に成熟の内的必然としてのステップアップとして自然に受け入れることが出来よう。それにしてもルトスラフスキーには先ほどの、それと指摘できる明確な独創的なトーンスタイルがあるわけではないが、しかし過激革新的でもなくしかし折り目正しくその確かさは真正として、当時私には心安らぐ聴くことしばしの現代音楽作曲家のひとりであった。折り目正しく真正なルトスラフスキーの現代音楽作品。