yuki-midorinomoriの日記

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胸にふるえ来る山下洋輔「枯葉」ピアノソロ

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              A Night In Tunisia - Yosuke Yamashita:Banslikana(1976)
              http://www.youtube.com/watch?v=0UXCzy49WXo

これは尋常の集中力とは思えない、この鬼気迫るインスピレーションの切り込みにどっと溢れ出すセンシティヴな音のほとばしりの凄さに山下洋輔のいまさらながらの独創のピアニズムに感じ入る。とりわけアルバム中の「AUTUMN LEAVES」に聴くリリシズムに、胸に来るもの押しとどめることが出来ようか。奔放に振舞っているような音たちの動きを支えている山下洋輔のジャズ精神の真正さに、ひとは快哉の賛多く彼に贈るのであろう。ただ聴かすだけではない、ひとを動かすのだ。いや揺すぶるの方がぴったりの表現かもしれない。今収録曲を聴いていて、より以上に思ったことだけれどひじょうに音が輪郭明瞭であり豊麗といってもいい響き、かつそのピアニズムにとりわけ秀でたところがあると感じた。エネルギッシュに躍動し疾走奔流と化すインプロヴィゼーションのひらめきの鋭利さに驚き、新鮮な音との出会いに高揚と恍惚に持ち込む集中力の突出した力と精神の持続力に感嘆することいや増す山下洋輔ピアノソロである。この『BANSLIKANA』とタイトルされたアルバムは、1976年7月ドイツにての録音とあり、それからすれば山下洋輔トリオのヨーロッパでの盛名高らしめる事となったジャズ祭での成功より後日であり、確信を持ってのぞんだスタジオソロ収録であったことだろう。「A NIGHT IN TUNESIA」「AUTUMN LEAVES」といった親しみある名作と自身の作曲作品6曲と合わせて8曲収録から分かるように、時間的にもコンパクトな演奏のそれぞれが密度濃く凝縮されたパワーインスピレーション演奏に仕立てられたアルバム構成となっている。録音も非常に切れのいい輪郭のはっきりした、ワイドレンジで引き締まった好録音のせいもあり、また山下洋輔の好演ともあいまってピアノのもつダイナミズムを満喫できる良いピアノソロ作品となっている。