yuki-midorinomoriの日記

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若き日の俊英を引き立たせるミルフォード・グレイブスのパーカッション

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Milford Graves - Together And Moving 1/2 (1977):Milford Graves: drums, percussion, piano, voice

              Mototeru Takagi: tenor sax
              Kaoru Abe: alto sax, sopranino
              Toshinori Kondo: trumpet, alto horn
              Toshiyuki Tsuchitori: drums, percussion

              http://www.youtube.com/watch?v=G3SKcx6O6Nw&feature=related

              Milford Graves - Together And Moving 2/2 (1977)
              http://www.youtube.com/watch?v=P8EbBSc5Wf0&feature=related

ここには良質のフリージャズが確かに在る。フリージャズ評論と共にその実際上の活動のコーディネートに尽力もしていた故間章によって企図された、コマーシャリズムにのることを自覚的に避けてきたといわれるアメリカの伝説的なドラマー、パーカショニストのミルフォード・グレイブスMILFORD GRAVESを迎えてのアルバム『MEDITATION AMONG US』(1977)。(ちなみについ先日、松岡正剛ジョン・ケージの対談記事を読んでいたときにケージが、雑誌<遊>にてのミルフォードグレイブスの掲載記事に目をとめ、彼のコンセプトに賛意している訳ではないけれども、彼を知っていたらしく「頭のいい人のようだ」と語っていたのに出くわした。)メンバーに高木元輝(TS)、阿部薫(AS)、近藤等則(TP)、土取利行(DS,PER)。ドラムが別に彼で無くても興味をそそる若き日の俊英のメンバーではあるが、ミルフォード・グレイブスの存在がその場を引き締めているのが良くわかるアルバムといえようか。確かに伸びやか且つ奔放にインプロヴァイズしている彼らを一層引き立たせているのはミルフォード・グレイブスのドラム以上にトータルに彼がかもしだす雰囲気に大きく起因しているのは間違いないだろう。というのも、年代の前後関係の確証が無いままの印象であるが、私にとっては土取利行以外ほかの3人には、いまいちの何か吹っ切れなさを感じていたので、このアルバムの3人の伸びやかな演奏を聴くにつれそのように思った次第である。近藤等則も、高木元輝、土取利行もここではいいインプロヴィゼーションを展開している。このように若き俊英たちが伸びやかに資質を発揮している演奏を聴くと、いかにこのアルバムでの軸がミルフォード・グレイブスであり、彼が主導しているかが分かる。彼のストイックなまでの研鑽で鍛え上げられた肉体の動きを取り込んだ創造的なアフリカンリズムの刻むパーカッションが彼ら俊英のインプロヴィゼーションをいっそう加速させる。見事にまで応答し、ほかでは聴かれないほどの演奏をコラボレイトしている。ここでの近藤等則は見事であり、高木元輝もひじょうに好い。この二人にはミルフォード・グレイブスほどの優れた対者が必要だったのであろう。そのように思わせるフリージャズの好アルバムである。ここに聴くミルフォード・グレイブスの見事なパーカッションと、ピアノが繰り出すフリージャズの世界は、あまりフリージャズになじみの無い方にもぜひとも聴いていただきたいお薦めのアルバムとしておこう。