yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ICP出立を祝う<001>ハン・ベニンとクウィレム・ブロイカーの 『NEW ACOUSTIC SWING DUO』 (1967)

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ジャケットデザインはハン・ベニンクHan Bennink(オランダ・1942)、デュオパートナーにウィレム・ブロイカーWillem Breuker(オランダ・1944)。この二人で1967年録音されたこのアルバム『NEW ACOUSTIC SWING DUO』が、ICP(INSTANT COMPOSERS POOL)レーベルの<001>として最初に出されたもの。
≪ピアニストのミーシャ・メンゲルベルク、ドラムのハン・ベニングらと共にウイレム・ブロイカーWillem Breukerが1967年に設立した音楽家のための活動団体の名称であり、その自主レーベル名でもある。このウイレム・ブロイカーはその当時ヨーロッパ・オランダでのフリージャズシーンを、ハン・ベニンクと共に牽引していた存在であった。
そのサックスの力強い演奏はぺーター・ブロッツマンの衝撃をもたらした1968年の「マシーン・ガン」で聴くことが出来る。のちドイツでたちあげられたフリージャズミュージシャンのための活動団体FMPのメンバーたちとの交流がこの頃よりあったということである。
しかしウイレム・ブロイカーは73年にICPを脱退して自らの音楽ポリシーを展開すべく自分のレーベル、「ブハースト」BVHAASTレーベルを立ち上げ1974年ウィレム・ブロイカー・コレクティーフを結成、ジャズだけでなくクラシック、ポピュラー・ミュージック等、ジャンルを超えた演奏活動をおこない、時には、衣装、セットなどを用いたパフォーマンス、オペレッタ、演劇の要素を加えたステージを見せて社会派劇作家ベルトルト・ブレヒト社会主義を信奉する作曲家クルト・ワイルの音楽劇作品に見られるような活動を以後展開している。≫
(2006-2-17・Myブログhttp://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/26909000.html)
B面20分に亘るベニンクとのインタープレイに聴くウィレム・ブロイカーのサックスはブロッツマンのサックス同様吹きすさぶように力強く咆哮する。しかしフリーキーだけに突っ走ってしまうのではなく、ここにこそ彼ウィレム・ブロイカーの真骨頂ありとも言える、提示される親しみあるメロディーをバリエーション豊かに崩してゆく手練のパフォーマンスには、ハン・ベニンクのドラム、ハンドメイドも含めた数多くのパーカッションやタブラなどを使ったりの興趣あふれインタープレイのデュオ交感に生真面目さと、遊び心の横溢した、まことに楽しく見事なフリージャズを聴くこととなるだろう。
ウィレム・ブロイカーのインプロヴィゼーションはフリージャズを<楽しむ>という言葉が相当であり、ハン・ベニンクのそれは<遊ぶ>という言葉がまことふさわしい。ICP出立を祝う<001>である。