yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

清新でインテリジェンスあふれる佐藤允彦の 『パラヂウム・PALLADIUM』(1969)

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しっとりとした味わいのジャズ。ピアノトリオの醍醐味を味あわせてくれるアルバムである。とまあこんなことをいうまでもなく、このアルバムは<日本ジャズ大賞>なるものを受けているということであるから言わずもがなのコメントかもしれない。この私が所有しているアルバムにはライナーノーツが紛失したのか見当たらず、ネットを覗いて、この『パラヂウム・PALLADIUM』が佐藤允彦バークレーでのアメリカ留学を終えて直後1969年に出されたことを確認した次第である。今聴きかえして思うのだけれど、こんなオーソドックスな佐藤允彦であり、アルバムだったかな?という印象がした。如何にいい加減に聞いていたかということだろうか。気持ちがいいくらいに穏やかな落ち着いた心持にさせてくれる。ただオープニングに見せる佐藤允彦がのちの現代音楽にも通じる世界をチラッと覗かせているのは興味深い。ところでA面の誰もが親しむメロディーの名曲、ビートルズの「ミッシェル」をテーマとしたトリオのパフォーマンスの素晴らしさは先の感想に尽きるが、むしろジャズインプロヴイゼーションの本領発揮と言いたくなるのはB面のタイトルにもなっている「パラジウム」「スクローリン」ではないだろか。三者のテクニックのほどが存分に堪能できる。まさに日本ジャズの誇る水準ここにありと言った感じである。余計なお節介だけれど、ジャズはなんだかなと日頃思われている方々にはこの「ミッシェル」を佐藤允彦トリオのまさに<賞>に値する良質のパフォーマンスで是非味わっていただきたいものだと思う。佐藤允彦(p)、荒川康男(b)、富樫雅彦(ds)のトリオ、1.オープニング、2.ミッシェル、3.ザルツブルグの小枝、4.パラジウム、5.スクローリン、6.クロージング。