悔恨とともに涙するカンテフラメンコの巨匠アウレリオ・セジェスの『マラゲーニャス』
いつかは忘れた、両親を亡くしてのちのことであっただろう。カンテフラメンコの巨匠アウレリオ・セジェス(AURELIO SELLES・1887-1974)がスペインの庶民の暮らしの映像流れる中、歌う『マラゲーニャス』の歌詞の字幕にとめどなく涙があふれ、NHKテレビの画像がゆがんで霞んだのをこのアルバムを手にするたびに思い出す。おおかたが想うだろう、どれだけ親を泣かせ悩ませたことか、悔恨とともに涙するアルバム、一曲の『マラゲーニャス』でもある。
とむらいの車に乗せられて行く
おれのおっ母さんをおれはみた
ふとおれの口をついてでたのは
……あんなにいいおっ母さんが
死んでいいはずは無かった
ながい、悪い苦しみが
おれのおっ母さんを殺してしまった
おれに言ってくれたことを、
いまはの忠告を、聞いた時には
寝ていた床までがふるえていた……
『マラゲーニャス』