yuki-midorinomoriの日記

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愉しさにBamboo Flute Jazz by Hozan Yamamotoと言いたくなる『竹の組曲』(1975)

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今回のアルバムは名作「銀界」より経ること5年、1975年のチャリティーコンサートでのライブパフォーマンスを『竹の組曲』(作曲山本邦山)としてリリースしたもの。山本邦山(尺八)、前田憲男(ピアノ)、荒川康男(ベース)、猪俣猛(ドラムス)のクァルテット。先の「銀界」はスタジオ録音ということもあってか構成的でしっかりと組み立てられた仕上がりであり、菊池雅章の<間>の絶妙といえるピアノ、余情をさえもつゲーリー・ピーコックのベースなどで深みと余韻をもって見事であったが、今回のアルバムはライブということもありA、B両面に亘ってのインプロヴィゼーションとなっている。ここでの山本邦山は自在により練り上げられたポピュラリティ溢れるフレージングで前田憲男らのメンバーとコラボレーションしている。とりわけ両面各々の後半部分でのアップテンポに展開される乗りなどは前作「銀界」にはなかった大きな特徴といえよう。前田憲男に代表されるあまりにも器用すぎる面々とのコラボということもあるのか、また山本邦山の邦楽以外の演奏家たちとのその後の多くの交感の場での練成がそうさせているのかは分からないが、よく耳にする親しみのある民謡のフレーズなどにのってのパフォーマンスはまさにバンブーフルートジャズといった軽身の趣である。尺八という純邦楽器に全くといっていいほど違和を感じさせない良質のジャズパフォーマンスといえようか。また手練のピアニスト前田憲男の如才ないジャズパフォーマンスは、いささか器用すぎて、<見えてしまう>嫌いがないでもないけれど演奏を纏め上げる力量は否定しようもなく、人を飽きさせずそつなくつくりあげる技には見事でいつも複雑な思いでありつつも感心してしまう。この人には器用、達者なゆえにか<すぎる>という言葉がつねに出てきてしまうのが玉にキズと私は思っているのだけれど。ともかく古典本曲にはあまり聴けない親しみのあるフレーズに乗っての山本邦山の尺八ジャズインプロヴィゼーションは、纏め上げることに長けた手練のピアニスト前田憲男との交感にいやがおうでもしなやかに技のかぎりに応える。深みと余情においては前作「銀界」であり、バンブーフルートジャズの愉しさにおいては『竹の組曲』といえるだろうか。