yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アフリカの大地との交感に清冽な詩を歌うダラー・ブランドデュオアルバム『Good News from Africa』(1973)

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Abdullah Ibrahim: Ntsikana's Bell

              

だいたい音楽は何でも聴くほうだけれども、たとえばこのブログで主に取り上げている現代音楽、フリージャズなどはいうに及ばず、ロックのハードからへヴィーまでなんでも、アルゼンチン・タンゴ(タンゴピアノがなんともいえない味がある、ついでながら菅原洋一のタンゴは歌唱力といい、味わいがある。)、演歌、民謡、古典邦楽とつまりは別に音が鳴ってりやなんでもいいというようなものだけれど、カントリー・フォークも好きな音楽だ。音盤蒐集などはせず、放送で流れていれば聴く程度だけれど。だからといえるのかどうか分からないが、イーグルスの、ドン・ヘンリーなどそうした曲調のものはよく聴き、好きである。何かしらあの哀調おびたメロディー、独特の節まわしが醸し出す情感が堪らなくしみじみとしていいのである。映画でもアメリカの農村を舞台にしたストーリーに、日本の映画以上に人生の諸相を味あわせてくれる意味で好きである。たぶん生活の肝心を歌い上げているアメリカの演歌とも言えるのだろう。どうしてあちらさんは、気の利いた、詩的なセリフが何気なく口を突いて出てくるのだろう。わが日本には、俳句、短歌というすぐれた馴染みの形式がありながら、映画を見ていても感心するような詩的なセリフに出くわすことは先ずない。ストーリーが優れていても、それだけではつまらない。ハリウッド作品などのどうでもいい作品でも、気の利いたセリフが聞けるのにはたびたび感心する。さて話は、フォーク、民衆の哀歓、情感であった。<自然>とは厳しくもあり、だが人の本源として、帰るべきところとして、こころ許し、慰撫もたらす安んずるところといえよう。反アパルトヘイト活動のため国外追放となり30年間帰国かなわなかった、南アフリカ出身のジャズ・ピアニスト、ダラー・ブランド・Dollar Brand (改名Abdullah Ibrahim・1934年英領ケープタウン生れ)。1963年チューリヒでデュークエリントンに出会い認められ後アメリカに居を構えることとなる。1968年にイスラムに改宗し70年代半ば以降はイスラム名のアブドゥラー・イブラヒム名義で作品を発表しているとのことである。癒しということばは私は馴染まないが、ダラー・ブランドの大地の匂うピアノパフォーマンスのすがすがしさに心洗われることだろう。自然・アフリカの大地との交感に、情感たっぷりとハートフルなジャズピアノパフォーマンスにこころはひそやかに清冽揺さぶられることだろう。一度耳にすれば幾度となく繰り返し聴くことになるのは請け合いである。残念ながら紛失していまは手元にないので、ここではベースとのデュオアルバム『Good News from Africa』(1973)をとりあげているが、その手元にない1969年コペンハーゲンのモンマルトル・ジャズ・ハウスで録音されたピアノソロ『African Piano』も好アルバムである。



Adhan and Allah-O-Akbar