yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

音楽への愛おしさあふれるムハル・リチャード・エイブラムス(1930)のピアノパフォーマンス

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今日は、きのうのサッカー日本代表のふがいない敗戦が尾を引いているのか、心穏やかではない。コンディション云々、地力としては相手の方が上とかではなく、はっきりいって作戦ミス、これに尽きるとシロウトながら勝手におもっている。自陣に引いて、後半に3点入れられた展開にそれははっきりと見て取れる。プレスもかけず引いて受けるだけでなすすべなかったのは、そうせざるをえなかったのではなく、そうさせてしまった自陣の作戦ミスと言えるだろう。精神的に押されていたということも考えられはするけれど、サッカーは引くにしろ走ること怠れば話にならない。許せ、サッカーファンはすべて評論家である。とまあこれぐらいにして、アルバムの話といこう。1965年シカゴにて創設された非商業主義的な活動を趣旨とするAACM(The Association for the Advancement of Creative Musicians)の初代会長をつとめたムハル・リチャード・エイブラムスMuhal Richard Abrams(1930)のリーダーアルバムである。ちなみに<ムハル>とは首長の意味だそうである。このAACMからはブラックアメリカン・フリージャズの雄、アート・アンサンブル・オブ・シカゴが輩出している。又インテリジェントなサックス奏者アンソニー・ブラックストンが属していたのも有名である。もちろん先のシカゴのメンバーである、ロスコー・ミッチェル、ジョセフ・ジャーマン、レスター・バウイ、マラカイ・フェイバース。それにレオ・スミス、モーリス・マッキンタイヤーなど錚々たるメンバーも見える。彼は正規の音楽教育を修学して、ピアノのみならず作編曲にも才発揮し、クラシカルな面でも、クロノスクァルテットにより弦楽作品が演奏されてもいるそうである。酒もタバコも嗜まずの家庭的でお堅い人物だそうである。アルバムのポートレートデザインがそうしたことを匂わせているのかもしれない。B面とおしてのピアノ・ソロ作品『Wise in Time』は、およそジャズと思えないようなメロディアスで流れるように美しく心穏やかに落ち着きもたらすいいパフォーマンスである。まるで人に聞かすというより自分に演奏して聞かすようなふうでもある。音楽への愛おしさといったらいいのだろうか。クラシカルな音楽への愛着、選好を強く感じさせる品のあるロマンティシズムの香りほのかな、饒舌さのない好ましいソロ・パフォーマンスである。キースジャレットのようにテクニック的には超一流とはいえないのだろうが性格がいい、品がある。そのこともあってか、心落ち着いて軽く聴きたい気分の時には時々思い出しては手に取るアルバムである。A面の『Young at Hert』はクァルテットでの演奏。AACMのメンバーたちに共通して特徴的な表現主義的なフリージャズである。一般的によく耳にするメインストリームジャズよりはるかにいい。これは確かにいえることだ。少なくともヨーロッパ・フリージャズをメインに聴いて来た私にとっては。多分この時期、ここシカゴ派にこそアメリカ・フリージャズ革新の真正はあったと断言できる。そうしたことを感じさせるパフォーマンスである。