yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

小走りで快調に歌いまくり乗る山下洋輔。アデルハルト・ロイディンガーとのデュオ『Inner Space』(1977)

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山下洋輔のピアノとアデルハルト・ロイディンガー Adelhard Roidingerのベースとのデュオパフォーマンス。かれアデルハルト・ロイディンガーは1943年オーストリアの産。音楽高校で6年間ベースと作曲を修学するも大学では建築を専攻。両方を教え生業としていたが、結局はフリーランスのベーシストの道へと歩んだということである。ひじょうに輪郭のはっきりしたビンビンと響き歌うベースである。このアルバムでの山下洋輔のピアノは、あの特徴的な激しく疾走するのは控えられ、乗る、スイングするといった表現のほうがふさわしいパフォーマンスである。対者がベースということも与っているのだろうか。メロディアスで心地よく、だがあの山下節で快調かつリリカルに、疾駆というより気持ちよげな小走りといった趣である。A面三曲のタイトル1、『Country Walk』 2、『Tight Pants』 3、『Soft Walts』となっているのを見ればなるほどそうかと肯けるタイトルではある。B面『Green Wave』は18分におよぶベースとの対話と思しきパフォーマンス。息詰まるといったようなよくある壮絶バトルではなく歌う山下洋輔といったところだろうか。独創の小走り疾駆するも小気味よく明瞭に撃ち叩かれるピアノタッチで、快調に歌いまくり乗る山下洋輔。その歌に寄与するメリハリのあるアデルハルト・ロイディンガーのベース。二人のパフォーマーと気分よくその場を共有し楽しむ風情のアルバムに仕上がっている。何でもここで取り上げたこの二人でのパフォーマンスアルバムの、ドイツのスタヂオでの録音盤『Inner Space』(1977)は二作目であるそうで、一作目は前年同じくドイツで録音制作されたものがあるらしく、たぶん棚のどこかにあることだろう。その鑑賞記事はまたの機会にしようと思う。