yuki-midorinomoriの日記

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富樫雅彦と高柳昌行の傑出が創り出した『WE NOW CREATE』(1969)

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Togashi Masahiko Quartet - We Now Create (1969)

               

ことのほか富樫雅彦のパーカッションがすばらしい。パーカッションソロをまともに聞いたのは今回がはじめてだろうか。いやそうではなくこのアルバムでのパフォーマンスがよかったのだろう。B-1、「Artistry in Percussions」。響きとかより知的にコントロールされた、統一感ということだなのだろうか。まさしくパーカッショニストと呼ぶにふさわしい。こんなに凄かったのかしら、見直した。このアルバムだけでないのを望みたいものだ。B-2、「Fantasy for Strings」。やはり高柳昌行のギターあっての濃密なフリーインプロヴィゼーションのコラボレーションといえるだろうか。イギリスの稀代孤高のギターフリーインプロヴァイザー、デレク・ベイリーをもちだすのもどうかと思うけれど、音響空間をタイトにつくりあげる感性は、比肩されるに十分な独創である。時代にシンクロしているのを興味深く思う。A-1「Variations on a Theme of “Feed-Back”」の出だしでの空間定位の絶妙。もうこれで演奏のよりどころ、パフォーマンスのコンセプトは決まりであるといわんばかりにすばらしい。強烈な高木元輝の清新でエネルギッシュなテナーサックスのフリークサウンドは、ここでは素晴らしい、集中している。富樫のドラムとのコラボ、インタープレイがことのほかハードでエッジ鋭く咆哮する。高木元輝はほかのアルバムでこれほどのパフォーマンスがあったのかしらと思うほどである。この高木はでき不出来が激しいのだろうか。どうしてだろう。推測するに、これまた富樫の圧倒するセンシティブなドラムに加えて、高柳のコンセプト、フィードバックの手法を効果的につかったギターの撥弦という、場を引き締める力が与っているのではないだろうか。『WE NOW CREATE』1969年に収録されたとのこと。ときあたかも山下洋輔のプロトジャズブレークの年でもあった。フリージャズの沸騰する、怒濤の時代でもあり、激甚する政治の時代でもあった。富樫雅彦:ドラムス、高木元輝:サックス、高柳昌行:ギター、吉沢元治:ベースのカルテット。そろそろこれを機に棚に眠っている富樫雅彦をまじめに聴かなくてはと思った次第。



Togashi Quartet - Invitation To Corn Pipe Dance (1969)