yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

死の直前、ジャンピング凄まじいエリック・ドルフィー独創のいななく絶後のソロパフォーマンス『チャーリー・ミンガスグレイト・コンサート』

イメージ 1

イメージ 2≪1964年4月19日、日曜日の午前零時10分から2時45分まで、シャンゼリゼ劇場でおこなわれたフランス国立放送局O.R.T.F.主催(ラジオとテレビで放送された)のコンサートをそっくりそのまま記録した≫(解説文より)3枚組みのLP『チャーリー・ミンガスグレイト・コンサート(The Great Concert of Charles Mingus)』である。
最初のほうは録音状態がよくないが、およそ30分に亘る『ソー・ロング・エリック・So Long Eric』のここでは、エリック・ドルフィーEric Dolphy(1928-1964)のあのいななく、また音域広くジャンピング凄まじいドルフィー独創の奇体なソロパフォーマンスを堪能できる。まったく興趣つきぬインプロヴィゼーションである。
この公演後ヨーロッパに残り、その年1964年6月24日糖尿病によって、ベルリンにて客死不帰の人となった。享年36歳であった。このアルバムはチャールズ・ミンガスのリーダーアルバムであるけれど、エリック・ドルフィーの死ぬ直前の名演として名高いアルバムでもある。
また、ピアニスト、ジャッキー・バイヤードの見事なラグタイムとその形に嵌らない奔放自由自在なピアノパフォーマンスも聞きものである。長い各パートのソロが終わりドルフィーのアルトが入るや胸が高鳴る。それほどになぜか魅かれる独特のフレージングである。
あたりまえでないのが私にはよかったのだ。心地よさ、乗りなど私にはどうでもよかったのだ。迫真の奇体のドルフィーで十分だ。美しい綺麗なサウンドなどどうでもいいのだ。少なくとも私にとっては。
さてパーソネルはチャールズ・ミンガスChales Mingus(ベース)、ジョニー・コールズJohnny Coles(トランペット)、エリック・ドルフィーEric Dorphy(アルト、バスクラ、フルート)、クルフォード・ジョーダンClifford Jordan(テナーサックス)、ジャッキー・バイヤードJaki Byard(ピアノ)、ダニー・リッチモンドDannie Richmond(ドラムス)。
収録曲は『ソー・ロング・エリック・パートⅠ、Ⅱ(So Long Eric PartⅠ、Ⅱ)』、『オレンジの色は彼女の色(Orange was The Colour of Her Dress)』、『パーカー・イアーナー(Parker Iana)』、『メディテーション・フォー・インテグレイション(Meditation for Integration)』、『フェイブル・オブ・ファーバス、パートⅠ、Ⅱ(Fable of Faubus Part Ⅰ、Ⅱ)』、『ソフィスケイテッド・レディ(Sophisticated Lady)』。
力強い荒削りのよきジャズが堪能できる。こんにちの美しすぎる、上手すぎる<芸術に成り下がった>ジャズに飽きたりない人には、この時代のこうしたアルバムに収まっているジャズはどうだろうか。畏まって聴くのでなく楽しめるジャズである。