yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

伝統(歴史)と個がともに練成する感動。艶やかな朗唱と撥の弾ちならす琵琶の鮮烈なパワー『鶴田錦史の芸術』(1985)

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Kinshi Tsuruta: Epic recitation of the genre Satsuma-Biwa

         

武満徹の代表的作品のうちのひとつ、それも邦楽器と西洋音楽との出遭いをタケミツトーンにエキゾチズムしてみせた見事さで歴史的傑作とした『ノヴェンバー・ステップス(November Steps)』(1967)。そこで私たちは、薩摩琵琶奏者、鶴田錦史(女性)の存在を知ったのであった。
そこには歌はなく楽器演奏のみであったが、この拙ブログでも取り上げた『エクリプス(蝕)』(1966)では歌が入っており、そこで古典芸能の朗唱の力の鮮烈を知ったものであった。
当方、偏った現代音楽やフリージャーズを主に聴くものの、音楽と名のつくものは大体なんでも聴く節操のなさも持ち合わせ、民謡、浪曲など鑑賞するのはいたって好きなほうである。
だからというべきか、この今回取り上げる鶴田錦史の薩摩琵琶と歌と語りにはことのほか堪能した。ネットで覗いてみると琵琶自体は古い歴史と由来をもつものの、ここに聴く原型としての薩摩琵琶の様式は比較的時代新しく江戸明治ということらしい。(まさしく伝統は近代の到来とともにおおむねつくられるということだろうか)とりわけこの鶴田錦史女史のものは、あらゆる点で改良独創の上、創り上げられた薩摩琵琶音楽だそうである。詳しくは下記ページを参照してほしい。
ま、そんなことより、やはりじかに聞くべしという事だろうか。撥の弾ちならす(これぞ撥さばき!)琵琶の音と艶やかな迫真の歌と語りに感動すること請け合いである。伝統(歴史)と個をともに練り上げるとは、こういう感動をもたらす事をいうのだろう。浪曲、講談もいい、しかしいまさらながらにこうした琵琶による朗唱も凄いものであると思い知った次第である。機会があればぜひ聴いてほしいものである。1.春の宴。2.義経。3.壇ノ浦。すべて鶴田錦史が歌い語っている。



琵琶と尺八の武満徹作品『エクリプス(蝕)』(1966)、マイブログ――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/35918297.html