yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

今どきの心地よいポップノイズでは聴けない乱雑性に満ちたライヴ・エレクトロニク・ノイズパフォーマンスの『MEV』と『AMM』

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1966年ローマで結成されたライヴエレクトロニック即興グループの『ミュージック・エロクトロニック・ビヴァ(MEV)』。
メンバーは別にイタリア人で構成されているわけではなく、結成された場所がイタリア、ローマというだけで、主メンバーのフレデリック・ゼフスキーFrederic Rzewski(1938-)ほかほとんどがアメリカ人である。オリジナルメンバーは、Alan Bryant,Alvin Curran,Jon Phetteplace,Frederic Rzewskiで、今回収録されたもののメンバーはJon Phetteplaceがぬけ、Richard Teitelbaum,Ivan Vandorの二人が参加している。
ところで賛助共演者にはAustin,Behrman,Cage,Cardew,Chiari,Gelmetti,Kosugi,Lucierらの名がコメントされている。
いま聴いてもひじょうに刺激的でいいパフォーマンスである。
片やイギリス・ロンドンでジャズをバックグラウンドとするメンバーが1965年から活動していた即興グループで、のち極左政治活動家でもあり、そのゆえか悲劇的な事故により若くして世を去ることとなったコーネリアス・カーデューCornelius Cardew(1936~1981)が加入し注目されることとなったライヴエレクトロニック即興グループの『AMM』(Audacis Musicae Magistri)である。そもそもはLou Gare、Edwin Prevost、Keith Roweの三人によって発足した即興演奏グループだったそうである。今回の収録メンバーには、Cornelius Cardew,Lou Gare,Christopher Hobbs,Edwin Prevost,Keith Roweらの名があげられている。こちらもノイジーに満ちて刺激的である。『MEV』にしろ『AMM』にしろ、よく出来ているというより、時代の技術的制約もあって電子機材がいまだシンプルなせいか、それが却って整除されていないアモルフで面白いノイズ・インプロヴァイズパフォーマンスとなっている。ただMEVのほうがどちらかといえば洗練された音楽形成志向が感じられる。
いっぽう、AMMのほうはそうした音楽形成志向よりナチュラルなノイズにノイズしてインタープレイするといった感じである。
ひじょうにエキサイティングなノイズいんぷろヴぃぜーしょんとなっており、いまどきのポップノイズの心地よさとは感性の違いが際立つライヴ・エレクトリックノイズの原点を聴く思いである。
ノイズフリーパフォーマンスとしてはAMMのほうが無秩序性・乱雑性に満ちて解体的制御不能ノイズに感じられて面白い。
この2グループのノイズを聴くと、ひょっとして、ここらあたりが始まりでありピークであったのかもしれないと思わせるほどのエレクトロニックライヴパフォーマンスドキュメントである。

ところで下記ウェブで、コーネリアス・カーデューの追悼コンサートの音源が聴くことが出来る。時間もかかることゆえ、初期の弦楽作品だけを試聴しただけだけれども、この無調形式で書かれた作品などひじょうによく出来た作品で、この特異な極左作曲家、コーネリアス・カーデューに興味のある方は是非聴いていただきたいものだ。





コーネリアス・カーデュー(追悼コンサート音源、データはMP3)
http://www.ubu.com/sound/cardew.html

コーネリアス・カーデュー、マイブログ――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/26344445.html