yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

暴虐のエロスすさまじくカオス的ノイズに快感するピエール・アンリの『CORTICAL ARTⅢ』(1973)

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ひさかたのブログ登場。ミュージックコンクレートの雄ピエール・アンリPierre Henry(1927‐)の『CORTICAL ARTⅢ』(1973)。≪本人の脳波を基にしたバイオミュージック≫といったことしか詳らかにしない。脳波をシンセサイザーと結び付けての公開ライブインプロヴィゼーションを収録したもの。どういう仕組みになっているのか、フランス語の文字が躍ってはいるが詳細がわからない。まるでシンセサイザーでサイボーグと化したピエール・アンリがノイズでガナリまくっている風情で凄まじいものである。さぞかし会場の音響装置から大音量で鳴らされているこのパフォーマンスを聴いた人たちは、身をのけぞらし圧倒されたのではと思われるほどのノイズの暴れようである。なまなかなノイズではない。圧倒的なノイズサイボーグ。ピエール・アンリはパフォーマンスにノイズの原野を野人のごとく疾駆し、暴虐のエロスすさまじく音に快感していたのではないだろうか。驚天動地、凄まじさに二の句が継げないとはこのことか。たぶん聴衆はピエール・アンリがパフォーマンスしているのではなくシンセサイザー・電子機械がピエール・アンリの人体を借りて演奏していると錯覚するほどの機械生命の音響の音連れに吃驚したことだろう。神は斯く大音響とともにやってくるのか、はてまた沈黙の静謐のうちやってくるのか。眠りから覚め、眠りに墜ちるかのごとくにパフォーマンスが終えられるのもそうしたことを髣髴とさせ、まことに面白く、驚きをもって聴き入るノイズのカオス的生命のすさまじさにただただ圧倒されるばかりである。音にひれ伏すとはこの『CORTICAL ARTⅢ』のバイオ・ノイズインプロヴィゼーションを云うのだろう。何度でもいおう突拍子もなく凄まじいカオス的ノイズ暴虐の一言である。