yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

エキセントリックなまでの音の濃密な流動性と異相でありつつその生々しい音色の多様さシュトックハウゼン『Mixtur』(1964)、『Telemusik』(1966)

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たぶん購入した時に、一度は聴いてるはずなのに・・・、といったところである。この時期(70年代央頃まで)浴びるほどつぎから次へと、印象綴ることもなく聴きっぱなしで鑑賞終えていたのだろう。なんと無駄に時間を過ごしていたのだろう。読みっ放しの、聴きっ放し、能無しの最たるものである。一言のコメントでも残しておればと悔やまれる。斯く凡人は時間を無駄に使い人生を浪費しているのだろう。忸怩たるものがある。と、まあ前置きはこれくらいにして、今回も、先日ブログで取り上げたイタリアの集団即興演奏グループ・ヌーヴォ・コンソナンツァを収めていたドイツ・グラモフォンアヴァンギャルド集VOL.2(6枚組)よりのピックアップ。カール・ハインツ・シュトックハウゼンKarlheinz Stockhausen(1928-)の『Telemusik』(1966)と『Mixtur』(1964)の2作品が収録されたものである。『Telemusik』はHNKの電子音楽スタジオで制作されたものということである。今回聴きなおして面白かったのは、この当の作品より、オーケストラの音源を電子変調させてのリアリゼーションの斬新がひかる『Mixtur』のほうであった。エネルギッシュで、いつもながらのワイドレンジでダイナミックな音響世界を現出する異相の想像力は一際である。いつもながらのJohannes Fritsch, Herald Boje, Rolf Gehlhaar, らのメンバーの名が見える。この時期のシュトックハウゼンは私には、なぜか文句なしに面白い。引き締まっているのである。単なる電子変換・変調の奇異さ、異形の音世界の提示というだけではなく、エキセントリックなまでの音の濃密な流動性と異相でありつつその生々しい音の様相、音色の多様さに魅かれるものがある。これはまこと聞き物の一曲である。精神の緊張はまことに心地よいものである。一方、そもそもこのアルバムを拙ブログにひっぱって来た理由としてのNHK電子音楽スタジオで制作されたとコメントされている『Telemusik』。日本の伝統的な寺社などでの風物、行事、例えば雅楽木鐸、鐘、祭囃子等々から録られた音源を使っての電子音楽である。素材が素材ということで興味をそそりはしたけれど、私には、とりたててのこれはといった独創のコンセプトが感ぜられるものではなかった。これなら前に取り上げたフランスのジャン・クロード・エロワの、同じくNHK電子音楽スタジオで同様な日本の音源を使って制作された『楽の道』のほうがコンセプトの斬新さといい作品の面白さには軍配が上がるというものであろうか。制作年次に10年の隔たりがあり、それゆえ、あくまでも対比的にということなのだけれど。



ジャン=クロード・エロワJean-Claude Eloy(1938-)、マイブログ――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/42630996.html