yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

境界を感性鋭く切り込んでゆく佐藤允彦のピアノソロ。圧倒的な余韻『ホログラフィー』(1970)。

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佐藤允彦のピアノソロ作品『ホログラフィーholography』(1970)。このアルバムは廉価盤として再発されたものなのだろう。70年というと彼が29歳。アメリカ・バークリーの音楽留学を68年に終えて帰国すぐという事である。最も感覚か研ぎ澄まされて、何事かをなしえるパワーも十分といった気力みなぎっていた時なのだろう。理知的にコントロールされた硬質な音の舞うまったくのフリーインプロヴィゼーションは、安きに流される事を拒否しているかのようである。あくまで理知的なスケールとダイナミックな佐藤允彦のピアノは、正直ジャズではない。クラシカルでもない。境界を、あわいを鋭く且つ感性豊かに切り込んでゆく達意の音楽家であると括っておこう。少なくともこのピアノソロではそうである。その余韻は圧倒的であった。