yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

融通無碍、たえざる触発流動に音楽を任せる極度にインテンシヴなフリージャズ。ジョン・スティーヴンス率いるSMEの『BIRDS OF A FEATHER』(1971)。

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           Derek Bailey - John Stevens Solo
           


ジョン・スティーヴンスJohn Stevens
イメージ 2今日はちょっと気が引けるのだけれど、といっても、知る人は知るのイギリス・フリージャズ界でのビッグネーム、ドラマーのジョン・スティーヴンスJohn Stevens(1940‐94)率いるスポンティニアス・ミュージック・アンサンブルいわゆるSME(spontaneous music ensemble)のアルバム『BIRDS OF A FEATHER』(1971)である。SMEは比較的ルーズな、つまりはメンバーの組み合わせ可変が妙味のきわめて柔軟なフリーパフォーマンスを追及実践してきたグループである。いろいろなコンビネーションでフリーを実践してきたのは、ジョン・スティーブンスのすぐれたところで、その名のとおりスポンティニアス(自然発生的な)をコンセプトに、たえざる触発流動に音楽を任せる、その融通無碍なところがまず称揚すべきところであるだろう。内へ内へと集中する音楽精神のありようは、サウンドともども地味な印象であるけれど、その開示するサウンドインプロヴィゼーションの世界の緊張は例えようもなく魅力であり、凄みがある。別に西洋信仰・コンプレックスから言っているわけでは断じてないが、こうした極度のインテンシヴなパフォーマンスは、まず日米では聞けない。意味とのギリギリな対峙などできずやろうとしてもまず散漫で、ダレたパフォーマンスで終わるのが落ちだろう。とことん持続する精神を持たない。良質の対者の不在が決定的と私には思える。あまりこうした否定的言辞を並べるとジャズファンから顰蹙を買いそうなので止そう。要するに徹底性にかけるということだ。これはハッキリと言い切ることができる。それほどにかれらは特異である。これがたまらない魅力なのだ。どうしてイギリスにのみこうしたジャズが生まれたのだろう。興味のあるところだ。このジョン・スティーブンス、サックスのエヴァンパーカー、ギターのデレクベイリー、彼らは、そろイメージ 3いも揃ってスポンティニアスであり融通無碍であり、その<空・虚>へ、内側へ向かう情念の発露がもたらす極度の冷え冷えとした緊張感は不思議な魅力を湛えている。このアルバムでのジョンスティーヴンスのすぐれた対者はサックスのトレヴァー・ワッツである。そもそもがアルバートアイラーを出発としているのだろうけれど、すでに手の内にあり、はやアイラーを抜け出ている。彼らの対者のよろしきを得ての稀なる邂逅琢磨がそうさせているのだろう。John Stevensのドラム、Trevor Wattsのソプラノサックス、Ron Hermanのベース、それに女性Julie Tipettsのヴォイスとギターのクァルテット。

                              トレヴァー・ワッツTrevor Watts

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