yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

久しぶりに聞き返し、俄然ますます面白くなってきたセシル・テイラーのピアノ『コンキスタドールConquistador』(1966)

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CECIL TAYLOR, Conquistador (Part 1)

           

セシル・テイラーcecil taylor
イメージ 2先日のセシル・テイラーcecil taylorの「ユニットストラクチュア」を数十年ぶりに聞き返してみて、思いのほか新鮮で面白く聞けたので今日もその勢いで、ブルーノートレーベルでの第二弾、と言ってもこの2枚で終わったはずで、その理由のほどは私は詳らかにしない。音盤を追い、聴くことに気力と時間をとられていたせいか、<論><伝>なるものにまで目配せできず、そういった情報知識は残念ながら希薄なままである。ま、そのようなことはともかく前回は7人編成であったが、今回は一人減ってのシクステット。トランペットに、1964年ニューヨークでの'October Revolution in Jazz'と銘打ちオーガナイズ・プロデュースしニュージャズの革新の一角を占めていたビル・ディクソンBill Dixon(1925‐)が入っている。この「10月革命」はアメリカフリージャズにとってエポックメイキングな出来事であったことはつとに知られたことであり、若い世代へインパクトを与えたことでもよく語られたりもする。さて前作の「ユニットストラクチュア」ではサックスのケン・マッキンタイヤーKen Mcintyreという音楽大で教鞭もとるという知性を兼ね備えるプレイヤーが光っていたが、今作品のビル・ディクソンも先のジャズ革新の動きを主導するオーガナイザーでもあり、同様カレッジで教鞭とる知性派でもある。セシル・テイラーの革新のコンセプトにはこうした知性を必要としたのだろう。現在ではなんでもないようでも、同時代の他のジャズと比べればいかにフォーマットが違っていたかわかるだろう。ポール・ブレイカーラ・ブレイのジャズの革新の動きもあったけれど、それらと比べると、その破壊性、ポテンシャルの違いは歴然だろう。けっして楽しくスイングするジャズでもなく、コルトレーンのジャズなどの、ほどよい洗練とも違い、と云ってもどのユニットでもテイラーだけが抜きんでて革新的スタイルを貫き疾走していただけと言えなくもないけれど、やはりスゴイの印象は抜きがたい。それほどにセシル・テイラーのピアノは、今回のアルバム『Conquistador』(1966)でも断然素晴らしい。こうなったら、ほかの数十年眠ったままのアルバムも俄然聞きたくなってきた。A、B両面とも長尺およそ20分にわたるインプロヴィゼーションパフォーマンスである。そのせいか個々のソロパフォーマンスが伸びやかで生きており前作よイメージ 3りも望ましく素晴らしい。B面でのビル・ディクソンのトランペットソロが素晴らしいソロであり、聞きものである。前作の「ユニットストラクチュアunit structure」(1965)よりこの『コンキスタドールConquistador』(1966)の方に、私は軍配を上げるだろう。
Personnel:
Cecil Taylor: piano
Bill Dixon: trumpet
Jimmy Lyons: alto sax
Henry Grimes, Alan Silva: bass
Andrew Cyrille: drums                       ビル・ディクソンBill Dixon