yuki-midorinomoriの日記

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たえざる始原を喚起する情念の響きジャチント・シェルシ(1905 - 1988)のチェロ独奏曲集。

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Giacinto Scelsi ~ Trilogia : Triphon ~ Part 1

           

イメージ 2フランスの現代音楽の主要な潮流のひとつ≪倍音を分析して音色の推移にこだわる作曲理論を展開≫(WIKIPEDIA)するスペクトル楽派が、その創生によりどころとしたイタリアの狷介≪なんでも写真を一切残さず(ごく一部の若い頃および隠し撮りを除く)だそうである≫な作曲家ジャチント・シェルシGiacinto Scelsi(1905 - 1988)。その彼のチェロ独奏曲ばかりを収録したCD。これは聞きものである。チェロがうねり、心の奥底をびんびんとひびかせる音色に惹きつけられること請け合いの作品集である。民族音楽がもつ整除されない、洗練を好しとしない<生>の自然性・あるがままを音の中に掬い上げ、洗練を忌避した響きは新鮮ですらある。余韻余情に漂う倍音の響きをただひたすらに耳そばだてる。なにかしら慰撫され心落ち着くのは、たえざる始原を喚起する、その何もかも抱き込んだ倍音の響き故なのだろう。そうしたことは4曲目の『KO-THA』(1978)で強く印象することだろう。ひじょうに印象深いチェロ独奏曲である。まさにうねる情念の響きといえるだろうか。魅力ある作品集だ。



ジャチント・シェルシ(Giacinto Scelsi, 1905 - 1988)は、イタリアの現代音楽の作曲家。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%B7




KO-THA by Giacinto Scelsi