yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

富樫雅彦と佐藤允彦、尺八の山本邦山が織りなす日本的余情の尺八との知と技の巧みのコラボレーション、『無限の譜』(1979)。

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イメージ 2今日取り上げ紹介するアルバム『無限の譜』(1979)は、尺八の山本邦山のリーダーアルバムであり、メンバーは、パーカッションの富樫雅彦、そしてピアノが佐藤允彦という構成でのトリオでのもの。すでに私のブログでも2作品がすでに登場している。先ず菊池雅章(まさぶみ)のピアノとゲイリーピーコックのベースによる情緒纏綿で絶品の『銀界』、そしてこれまた名盤の前田憲雄トリオと組んでの『竹の組曲』がある。この今回の『無限の譜』と比べると、先の二作品は聞き易さというより、尺八のインプロヴィゼーションに伝統的な古典本曲の日本的情緒を強く感じさせるフレーズジングがそこここに聞けるところから親しみを持って、またリラックスして堪能させるところがあった。しかし今回は、なうてのフリージャズコンセプチュアーの富樫雅彦佐藤允彦という両者を迎えているせいか、日本的情緒への安易なパターン的迎合を忌避しての尺八の可能性を試そうとしているのか、幾分現代音楽風の音作りとなっている。そうした意味では、純粋に日本的余情を尺八の音色に希む鑑賞者には辛いところがあるかもしれない。しかしパターン化した安易な記憶としての制度的な情緒の再考の要求は、確かにこの佐藤、富樫の二人のコラボに感じ取ることができる。当たり前のパターン化した安易な日本的美しさは彼らには無縁のようだ。日本的情緒、余情のリラクゼーションを求めるなら、前2作である。しかし追随を許さぬ知と技の巧みのコラボレーションの見事さに酔うのなら卓越の二人を迎えたこのアルバムといえるのかもしれない。