yuki-midorinomoriの日記

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綾なす音の彩りと多層的な音の煌き流動の生き生きとしたさま、これは新大陸アメリカではない!?エリオット・カーター(1908-)『3群のオーケストラによる交響曲』(1976)。

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Elliott Carter, A Symphony of Three Orchestras

              

エリオット・カーターElliott Carter
イメージ 2えらい拾い物?いや購入所蔵しているのだし、一度は耳にしているのだからその謂いはあたらないのだろうけれど、今日聞きなおしてその印象が先ずいっとう最初のものだった。これはことのほか素晴らしい印象であった。
アメリカの現代音楽作曲家で、90才を越えていまなお健在と聞くエリオット・カーターElliott Carter(1908-)である。
≪90歳を超えても未だに現役であり、良くも悪くもアメリカ作曲界の「怪物」である。≫(WIKIPEDIA)とある。なにをもって怪物と称されるのか私にはわからないが、少なくとも今日紹介するアルバムの収録曲『3群のオーケストラによる交響曲Symphony of Three Orchestras』(1976)は、是非聞いていただきたいほどの素晴らしい作品だ。
このエリオット・カーターはさまざまな大学の要職を歴任しており、アカデミズムの中にありながらも、(というのもアメリカのそうした面々の作品はおおむね保守的であり、いままであまり面白いものに出くわしたことが無いので)聞くに値する、いやそれ以上の作品を出している。まったくヨーロッパの作曲家といっても疑われないほどの音色への洗練と豊穣濃密が自身の開発した作曲手法をもって提示されている。
このアルバム収録曲の『3群のオーケストラによる交響曲』は≪1976年アメリカ合衆国建国200年を期して、連邦政府芸術基金が6つの交響楽団<ボストン、シカゴ、クリーヴランド、ニューヨーク、フィラデルフィア>に対して拠出した助成金に基づき、ニューヨーク・フィルハーモニックが委嘱、同年12月完成、翌2月ピエール・ブーレーズ指揮のニューヨーク・フィルハーモニックにより初演された作品≫(レコード解説・奥田恵二)とあるように、このアルバムのものも、ニューヨークフィルのブーレーズ指揮によるもので、聞きほれるほどのメリハリの効いた綾なす音の彩りと多層的な音の煌きと流動の生き生きとしたさまは、たぶん作品の力、魅力もさることながら、指揮者ブーレーズの音への明晰鋭敏が音像の形成に与かっているのだろう。
もう一つの『ソプラノと小オーケストラのための<こだわりの鏡>』(1975)も、およそアメリカ、それもアカデミズムにある作曲家のものとは思えない音色の色艶と彩りの柔軟性、その耳のよさ、その音色への伸びやかな感性には、正直感嘆した。これは新大陸アメリカではない!?断じて!と言いたくなるほどである。これを期に、わが棚に眠っているエリオット・カーターの数枚のアルバムを聴きなおす愉しみができた。再びの出会いに感謝である。


エリオット・カーターの素晴らしい弦楽四重奏作品などがストリーミングで聞けます。是非クリックしてみてください。
http://www.archive.org/details/ECarterLifeInMusic

Elliott Cook Carter, Jr. (born December 11, 1908‐)
http://en.wikipedia.org/wiki/Elliott_Carter




Elliott Carter: A Mirror on Which to Dwell {1/2}