yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

惜しくもアルバム世に出ると同時に分解した才人揃うインテリジェントフリージャズ。チック・コリアとアンソニーブラックストンらの『サークルcircle paris concert』(1971)

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Braxton_Corea_Holland_Altschul - Nefertitti [Circle_Paris Concert].wmv

            

チックコリアchick corea
イメージ 1今の動向は皆目不通なので逡巡したのだけれど、今日取り上げるアルバムはチックコリアchick corea(1941-)のリーダアルバム『サークルcircle paris concert』(1971)である。2枚組みのアルバム。アマゾンのレビューを読ましてもらうと、なんでも≪チック・コリアの組んだ歴代のバンドで圧倒的に短命な『サークル』。この作品が出たときには既に解散していたという驚異的短命なバンドである。この作品(というかライヴ)は、1971年2月21日にパリでレコーディングされている。≫とあった。そういえば、そうだったと思い出した次第。彼の爆発的なヒットアルバムとなった『リターン・トゥ・フォーエヴァー』はこの直後のものだったと記憶している。そしてエレクトロニクスサウンドの心地よいアダルトコンテンポラリーなジャズへと歩を進めたのではなかっただろうか。私はその時点で、こりゃダメだわと、離れていってしまった。マイルス・デイビスにしてもそうだった。私にすれば唾棄すべきフュージョンの魁でもあった。私は音楽は大体なんでも聞くほうだけれど、このフュージョンというのは何故かうけつけない。ファンも多いことだから、これ以上はよそう。ようするに<媚>がいやなのだけれど。ああ今言った矢先だのに、何故か悪態の言葉がこの音楽には出てくるのだ。さて、このアルバム収録パフォーマンスのほイメージ 2とんどのイントロが現代音楽の様相ではじまる。けれど、それで突っ走るほどのポリシーがみえない。音楽的才能と先進性とはまったく別問題、次元の違う事柄なのだろうと、へんに納得させられるアルバムとなっている。チック・コリアにしても、サックスのアンソニーブラックストンにしても、ひじょうな才能の持ち主で、ともに最高の音楽教育を受けており、とりわけチック・コリアはジュリアード出身であり、またブラックストンもシカゴ音楽院を出ている。もっともその輩出せる人物たちから類推してのことでしかないのだけれど。ブラックストンは当初から現代音楽への関心が深いことは知られたことで、さもありなんといった了解が成り立つのだけれど、チック・コリアの方は、このアルバムが出るまでは予想だにしなかったスタイルでの登場であった。さすがに才能は、その如才なさを見せて余りある。たいしたテクニックである。ベースもデイヴホランドという名うてのフリー志向を強く持つスペシャリストであり、コラボレーションは見事に室内楽的まとまりを見せており、私には、はやばやと解散するほどの破綻をどこにも見出せないほどの出来栄えである。なまじ才人ゆえの何でもこなせる腰の軽さとなってしまったのだろうか。それにしても、この種のフリージャズにしては会場の拍手の多さ、反応には、正直驚きであった。最後は嵐のような賞賛の拍手のうちに閉じられるのだ。インテイメージ 3リジェントなその素晴らしいコラボレーションに対する拍手なのだろう。このアルバムを残して早々と解散してしまったことは惜しいことではあるけれど、チック・コリアのジャズの目指すところはここには無かったのだろうとしか言いようが無く、凡人にはそれ以上を推し量るすべを持たない。安易な情緒に流されず、乾いたセンシティヴなフリージャズインプロヴィゼーションジャズとしていい線いっているのにとの呟きが出てくる素晴らしいアルバムであった。また、こうしたことを思うにつけセシルテイラーのよりいっそうの強靭な革新的パッション、その精神の持続力の凄さを思うことであった。





Circle『Paris - Concert』(1972)

Tracklist:
A1. Nefertiti 18:26
Composed By - Wayne Shorter
A2. Song For The Newborn 7:09
Composed By - David Holland*
B1. Duet 10:55
Composed By - Anthony Braxton , Chick Corea
B2. Lookout Farm / 73° Kalvin (Variation - 3) 16:25
Composed By [73° Kalvin (variation - 3)] - Anthony Braxton
Composed By [Lookout Farm] - Barry Altschul
C. Toy Room - Q & A 24:44
Composed By - David Holland*
D. No Greater Love 17:40
Composed By - Isham Jones , Marty Synes*

Credits:
Design [Cover] - B & B Wojirsch
Double Bass, Cello - David Holland*
Engineer - Jean Deloron
Percussion - Barry Altschul
Photography - Jean-Pierre Leloir
Piano, Other [Back Cover Text] - Chick Corea
Producer - Manfred Eicher
Reeds, Percussion - Anthony Braxton

Notes:
Recorded on February 21, 1971 at the Maison de l'O.R.T.F., Paris.
Realisation by Andre Francis' "Jazz Sur Scene".
A1 published by Miyako Music Co., BMI; A2 to C by ECM-Verlag, GEMA; D by Ishan Jones Music Corp., ASCAP.
Comes in a gatefold sleeve.



デイヴ・ホランドDave Holland    (中)はアンソニー・ブラックストンAnthony Braxton







Chick Corea - Noon Song [Piano Improvisations Vol. 1]