yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

マオイスト、フレデリック・ゼフスキーの親しみのあるメロディ散見するミニマル的コレクティブ・インプロヴィゼーション『United Patchwork』(1977)2枚組。

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The People United Will Never Be Defeated! 「不屈の民・変奏曲」より

          

   National Anthem of China 中华人民共和国国歌-义勇军进行曲

  

フレデリック・ゼフスキーFrederic Rzewski
イメージ 2「Musica Elettoronica Viva」。ネット検索でヒットしたのは何とたったの2件あるのみだった。それもCDネットショップの宣伝記事のもの。Electoronicaの文字間違いかと思い再検索しても結果はほぼ変わらず、侘しいものであった。マオイスト毛沢東主義者)のフレデリック・ゼフスキーFrederic Rzewski (1938‐)も、中華人民共和国の資本主義化への鵺的なしくずしの変容、イデオロギーの退潮終焉の前に,音楽シーンの後景に押しやられているということなのだろうか。現在の活動振りはWIKIPEDIAで知るのみである。今回取り上げたのは1977年ローマにて録音された、即興演奏グループ「Musica Elettoronica Viva」による『United Patchwork』とタイトルされた2枚組みのアルバムである。以前、拙ブログでこのグループおよびフレデリック・ゼフスキーのアルバムを3つ取り上げた。
MEV(ミュージック・エロクトロニック・ビヴァ)の喧騒と狂騒のカオスに高揚する『The Sound Pool』(1969)
今どきの心地よいポップノイズでは聴けない乱雑性に満ちたライヴ・エレクトロニク・ノイズパフォーマンスの『MEV』と『AMM』
政治ロマン主義者・フレデリック・ゼフスキーの「不屈の民・変奏曲」、以上3稿であった。今回の77年のアルバム『United Patchwork』では60年後半の、まったくのコレクティブ・インプロヴィゼーションによるアヴァンギャルド性、乱雑性、強烈極まりないノイズの乱舞などは見られない。今回のこのアルバムはコレクティブ・インプロヴィゼーションというより構成メンバーの一人ひとりの名前が、各々の収録演奏作品にクレジットされていることから趣が違っている。いわゆる分かりやすさ、親しみのあるメロディーなどが散見する演奏作品となっている。<民衆>大衆性への接近ということなのだろうか。そうしたことがミニマルミュージックの手法を取り入れて試みられているように私は感じるが、さてどうだろうか。ともかく、政治イデオロギーが芸術(音楽)へ顔を出すとロクデモナイとは言わないが、いい結果を残さないことの証明とも言えそうだ。シンセサイザーAlvin Curran, Richard Teitelbaum)などのライヴ・エレクトロニクスパフォーマンスなど従来と変わらないセンスのよさを維持しつつあるなか、トータルパフォーマンスにはアヴァンギャルドの骨抜きされたさまを聞く思いがつのり、どんなもんですかねといった印象をぬぐい難い。ただこのように聞くのは初期の「Musica Elettoronica Viva」を知っている者のみが言うことで、この作品をそうした(時系列)関係に於いてではなく純粋に鑑賞する向きには、熟達のインプロヴァイザーの作品として、けっして貶められる体のものではないことは言っておかなくてはならないだろう。

(4/16付記)kawasakiさまより「Elettoronica」ではなく「Elettronica」との間違いのご指摘いただきました。「o」が一字不要でした。ありがとうございます。