yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

現代音楽の手法を使っての捻ったインテレクチュアルなジャズ・ピアノソロ『PAYAN』(1972)

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Alexander von Schlippenbach – Payan

             

イメージ 2アレキサンダー・ホン・シュリッペンバッハAlexander von schlippenbach。毎度ながら(マイブログですでに3回登場している)、この名前には変に感心してしまう。大層、高貴なイメージがつきまとう。顔立ちもなんとなくそうしたイメージであるが。今回はシュリッペンバッハのピアノソロ作品。ソロ作品として最初のものなのだろうか、ネットを覗いてもこの1972年ドイツ「enja」 レーベルより出されたこのレコード『PAYAN』が見当たらない。グループとしての活動では60年中ごろより華々しく活動し記録にも残っているけれど、ソロアルバムには遭遇しなかったので、先にも言ったようソロ作品としてはファーストアルバムに間違いないのだろう。クラシック音楽畑からのジャズへの転進ということがあってか、1曲目、のっけからフーガに則ったジャズピアノ演奏で始まるのは驚きである。出自、素養が顔出しているという事だろうか。これが悪くない。おもしろいのだ。こうした事に出会うのはヨーロッパジャズならではである。ヨーロッパジャズのスマートさと、破壊的な熱っぽさ、インテリジェンス、こうしたものに魅かれて、ヨーロッパフリージャズを主に聞いてきたジャズファンの私としては、こうした試み、パフォーマンスは好ましい。ルーツか知らないけれど、アメリカの、いかにもこれぞジャズ!?もいいけれど、シュリッペンバッハのこころみる現代音楽からのジャズアプローチ、そのジャズピアノもいいものである。というより私はこの種のヨーロッパのジャズのほうが好きである。クラシカルな音楽の伝統とジャズの出会い、それも真正なそれとして称えるべきピアノソロ作品といえるだろうか。このシュリッペンバッハの現代音楽の手法を使っての捻ったインテレクチュアルなピアノソロを聴くと、山下洋輔がいかに日本的リリシズムを背にしたストレート(プロト)ジャズであるかを知ることになるだろう。



Alexander von Schlippenbach『Payan』(1972)

Tracklist:
A 1. Fuge Für Tante Lilli 2:02
A 2. Yarrak 3:46
A 3. Pumpkin 2:32
A 4. Prelude To A Magic Afternoon Of Miss Yellow Sunshine 5:17
A 5. Niminy - Piminy 5:20
A 6. Payan 6:33
B 1. Lazy June 5:39
B 2. Aimless 3:20
B 3. Good Night, George 1:35
B 4. Kinds Of Weirdness 10:00

Notes:
Recorded at Studio 70 in Munich on the 4th of February 1972