yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

大地への愛と祈り、地声とコブシで魂を揺さぶる芸能山城組の合唱作品『地の響』(1976)

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Bulgaria Stellamara - "Prituri se planinata"

             

インドネシアバリ島のケチャの全編上演成功を機に、1974年1月19日に設立された≫(WIKIPEDIA) 芸能山城組。この芸術集団のコンセンプトや、活動歴などはオフィシャルサイトを覗いていただくとして、今日は、かれらの合唱作品『地の響』(1976)の紹介。そのタイトルどおりこのレコードは、副題に謳イメージ 2っているように<東ヨーロッパを歌う>とある。大地、自然の声・地声と哀愁を感じさせるコブシで、魂を揺さぶるコーラスを日本人が果敢に挑戦した記録である。ブルガリア民謡、グルジアロシア民謡が取り上げられている。さてどこまで大地の心、大地への愛を共感を持って歌い上げられているだろうか。その魂は如何。たしかに冒頭収録の4曲、「陽は沈む」(ブルガリア民謡)、「カライ・モーメ(さあ行きましょう、娘さん)」(ブルガリア民謡)、「スリコ」(グルジア民謡)、「夕暮れのヤナ」など胸に響くものがある。A面はとりわけ私たち日本人の感性にグットくる曲ばかりである。ここ最近の私もそうだけれど、いささか疲れている人にとっては、慰撫されることこの上ないアルバムといえるだろう。最後に大地の響きに魂ゆすぶられた民俗音楽学者の文章を引用してこの稿擱くとしよう。
                                    画像→ミレーの「晩鐘」

≪1964年に、エジプトのカイロで、第1回の国際民族芸能際が行われ、・・・そこではからずもブルガリアの女声合唱、もちろん地声のすごい迫力の演奏をナマで聞いた。色あざやかな民族衣装に身をかためた娘さん達が、ステージに半円形に並び、指揮者なしに歌いはじめた。それはまったく人の息を止め唖然とさせる美事な演奏だった。一人一人の声は、明らかに日本の農村の民謡とおなじタチの声だったが、それが一緒になると、何と世にも不思議な響き、私が生まれてから1度も体験したことがないようなマグニチュードを感じさせる。これだ!私たち日本人がヨーロッパから奪うものがあるとすれば、この声だ!≫(小泉文夫・レコード解説より)



SULIKO


 心もうつろに あてもなくさまよう
 あの娘はどこへ行ったやら いとしいスリコ

 夕べの城跡に 孤児ら遊ぶ
 どこかにスリコはいやせぬか 忘られぬスリコ

 森のうぐいすに 私は呼びかけた
 「お前は知らぬか鶯よ、スリコの墓を」
 
 優しい鶯は 私にささやいた
 「あなたの立ってるその土が スリコの墓よ」

        (山之内重美訳)