英・トニーオックスレイ・クインテットのアルバム『The Baptized Traveler』(1969)。時代を拓いたインテンシヴな独特の冷熱ともいえるコレクティヴフリージャズへの若き情熱の沸騰。
Tony Oxley Quintet - Preparation (1969)
トニー・オックスレイTony Oxley
1969年はあらゆる意味でたぎっていた時代だった。もう少しゆるく幅をもたして70年前後と謂っておいたほうがいいのかもしれない。
別に私だけのセンチメントな懐古で云っているわけではないと思いたいのだけれど・・・。此処最近この時代をめぐっての歴史、思想的総括めいたものが書物として散見され始めているようだ。
ところで、ご先祖さまを偲び、祀るお盆というわけなのか、このお盆の時期になると、はや70年代フォークソングの懐メロ番組がテレビで流されるようになってきた。それらを支えてきた世代も、もうリタイア、老境に入ってきたということなのだろうか。
カジュアルに若作りしてしゃしゃり出てくるその姿が私には疎ましくて殆んど観ないけれど。彼らも生活があるんだし稼がなくては・・・。とはいえ日々のプロとしての鍛錬のほども感じられず、急ごしらえの、衰えた姿を見せ付けられるのはいたたまれない。みるに忍びないといったのが正直なところである。懐かしいだけで、実力、感性は、はっきり言って今の若人のほうが数段に優れている。豊かな生活の中で、機会与えられ培ってきた音楽的感性と音楽実践の底上げは見事なも(世界的コンクールでの活躍)のであり、また日々間じかにポップスでの隆盛を見せ付けられるとそう思う。たいしたものだ。
以前帰宅途上の車中NHK・FMで、日本のヘビー・メタルのグループがアメリカを演奏ツアーのスタート(アメリカのプロモーションとのこと)とし、日本へと逆上陸のツアースケージュールを組んで活動しているのを聞きおよび驚いた。流されていたその演奏もなるほどと思わすほどの、アメリカのロックと遜色ないエネルギッシュで厚みを持ったハードなヘビーロックだった。ボーカルなどほとんどネイティブだった。
またヒットチャートに名を連ねる音楽のオリジナリティー、感性はしなやかというほかないほど見事なもので、感心してはいつも聴いている。(70年代フォークには未だ演歌的感性の残滓が聞かれるけれど、最近のものにはふっ切れた曲想のものが多いように感じる。)
さて横道へ逸れたけれど、70年前後という時代性の持つ意味のことだった。このことは、とりわけこの音楽ブログで記事を投稿していてもつねに感じることである。
ベトナム反戦から、パリ五月革命、全共闘運動などの政治経済的な動きもさることながら芸術、こと音楽分野に限ってみても、それは顕著なことだと思える。これらの時代、疾風怒涛の如くフリー(ジャズおよび即興・現代音楽)の嵐が吹きまくっていた。それも、日欧米と凄まじい既成性の解体と革新との熱気にとり憑かれていたかのようであった。
60年代のジョン・ケージなどの音楽革命、価値転倒の動き、揺さぶりがおおいに与っていたことは間違いのないことだろうし、そのことはブログでも作品紹介ともども拙いながら縷々述べてきた。斯く語り継がれるターニングポイントであったとして、これからも、つねなる回想検収へとむかうことだろう。
今日取り上げるアルバムも、そうした熱気を強く感じることとなるだろう時代のドキュメントである。いうまでもなく時は1969年、そしてイギリスである。
あの稀代のノン・イディオム・フリー・インプロヴァイズドギタリスト、デレク・ベイリーDerek Baileyと、上りつめ極限に<ウツ(空)・虚>と無化し、放下としての厳しいまでの美を現前してみせるテナーサックスのエヴァン・パーカーEvan Parker、
理知的で構成的な響きが立つドラムスのトニー・オックスレイTony Oxley、アルコベースに冴え見せるジェフ・クラインJeff Cline、知情バランスの取れたインテリジェンスな香気で咆鳴するケニー・ホウィーラーのフリューゲルホーンのクインテット。
そのインテンシヴな独特の冷熱ともいえるコレクティヴフリージャズへの若き情熱の沸騰を、時代のたぎるエネルギーをこのトニーオックスレイ・クインテットのアルバム『The Baptized Traveler』の中に聴くことだろう。このアルバムは彼らのパフォーマンス中比較的聞きやすいものといえるだろうか。その意味ではリラックスして聴けるほうである。
1969年はあらゆる意味でたぎっていた時代だった。もう少しゆるく幅をもたして70年前後と謂っておいたほうがいいのかもしれない。
別に私だけのセンチメントな懐古で云っているわけではないと思いたいのだけれど・・・。此処最近この時代をめぐっての歴史、思想的総括めいたものが書物として散見され始めているようだ。
ところで、ご先祖さまを偲び、祀るお盆というわけなのか、このお盆の時期になると、はや70年代フォークソングの懐メロ番組がテレビで流されるようになってきた。それらを支えてきた世代も、もうリタイア、老境に入ってきたということなのだろうか。
カジュアルに若作りしてしゃしゃり出てくるその姿が私には疎ましくて殆んど観ないけれど。彼らも生活があるんだし稼がなくては・・・。とはいえ日々のプロとしての鍛錬のほども感じられず、急ごしらえの、衰えた姿を見せ付けられるのはいたたまれない。みるに忍びないといったのが正直なところである。懐かしいだけで、実力、感性は、はっきり言って今の若人のほうが数段に優れている。豊かな生活の中で、機会与えられ培ってきた音楽的感性と音楽実践の底上げは見事なも(世界的コンクールでの活躍)のであり、また日々間じかにポップスでの隆盛を見せ付けられるとそう思う。たいしたものだ。
以前帰宅途上の車中NHK・FMで、日本のヘビー・メタルのグループがアメリカを演奏ツアーのスタート(アメリカのプロモーションとのこと)とし、日本へと逆上陸のツアースケージュールを組んで活動しているのを聞きおよび驚いた。流されていたその演奏もなるほどと思わすほどの、アメリカのロックと遜色ないエネルギッシュで厚みを持ったハードなヘビーロックだった。ボーカルなどほとんどネイティブだった。
またヒットチャートに名を連ねる音楽のオリジナリティー、感性はしなやかというほかないほど見事なもので、感心してはいつも聴いている。(70年代フォークには未だ演歌的感性の残滓が聞かれるけれど、最近のものにはふっ切れた曲想のものが多いように感じる。)
さて横道へ逸れたけれど、70年前後という時代性の持つ意味のことだった。このことは、とりわけこの音楽ブログで記事を投稿していてもつねに感じることである。
ベトナム反戦から、パリ五月革命、全共闘運動などの政治経済的な動きもさることながら芸術、こと音楽分野に限ってみても、それは顕著なことだと思える。これらの時代、疾風怒涛の如くフリー(ジャズおよび即興・現代音楽)の嵐が吹きまくっていた。それも、日欧米と凄まじい既成性の解体と革新との熱気にとり憑かれていたかのようであった。
60年代のジョン・ケージなどの音楽革命、価値転倒の動き、揺さぶりがおおいに与っていたことは間違いのないことだろうし、そのことはブログでも作品紹介ともども拙いながら縷々述べてきた。斯く語り継がれるターニングポイントであったとして、これからも、つねなる回想検収へとむかうことだろう。
今日取り上げるアルバムも、そうした熱気を強く感じることとなるだろう時代のドキュメントである。いうまでもなく時は1969年、そしてイギリスである。
あの稀代のノン・イディオム・フリー・インプロヴァイズドギタリスト、デレク・ベイリーDerek Baileyと、上りつめ極限に<ウツ(空)・虚>と無化し、放下としての厳しいまでの美を現前してみせるテナーサックスのエヴァン・パーカーEvan Parker、
理知的で構成的な響きが立つドラムスのトニー・オックスレイTony Oxley、アルコベースに冴え見せるジェフ・クラインJeff Cline、知情バランスの取れたインテリジェンスな香気で咆鳴するケニー・ホウィーラーのフリューゲルホーンのクインテット。
そのインテンシヴな独特の冷熱ともいえるコレクティヴフリージャズへの若き情熱の沸騰を、時代のたぎるエネルギーをこのトニーオックスレイ・クインテットのアルバム『The Baptized Traveler』の中に聴くことだろう。このアルバムは彼らのパフォーマンス中比較的聞きやすいものといえるだろうか。その意味ではリラックスして聴けるほうである。
トニー・オクスレイ、関連マイブログ――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/31404405.html
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デレクベイリー、エヴァンパーカー関連マイブログ
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Tribute To Derek Bailey A Tribute To Derek Bailey 2006 06 17 London Barbican John Zorn: saxophone; George Lewis: trombone; Bill Laswell: bass guitar; Gavin Bryars: double bass; Tony Oxley: drums and percussion; Milford Graves: drums, percussion and vocals; Mike Patton: vocals