yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

財団法人アフィニス文化財団から出されたCD4枚組み『日本のオーケストラ』(2003)。

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今日も、図書館にて借りてきた財団法人アフィニス文化財団から出されたCD4枚組みのもの。といってもすべて聴いた上での紹介ではない。その収録曲の中から、現代音楽のみ、殆んどが日本のそれだけれど、時間にしておよそCD1枚半分といったところ。≪「日本の音楽文化の向上・発展に寄与する」ことを目的として昭和63年3月、日本たばこ産業株式会社の出捐(しゅつ‐えん【出捐】[名]スル1 金品を出して人を救うこと。「医薬品を―する」2 当事者の一方が自分の意思で、財産上の損失をし、他方に利益を得させること。―ネット辞書より引用者注)をもって設立されました・・・音楽文化の中でも、地域における文化の重要な担い手であるプロ・オーケストラへの支援を事業の柱として、意欲的な公演への助成、大型楽器の購入に対する助成など楽団への財政的支援のほか、団員の海外研修に対する助成、団員の研鑽と啓発の場である「アフィニス夏の音楽祭」の開催や、団員のアンサンブル活動の成果を披露する「アフィニス・アンサンブル・セレクション」シリーズの開催など、多面的なオーケストラ支援活動を続けてまいりました。・・・・収録しておりますのは「(社)日本オーケストラ連盟」加盟の23のプロ・オーケストラに、加盟楽団員の団員によって編成された「オールジャパン・シンフォニーオーケストラ」を加えた24楽団となっております。≫(解説書より)このように啓蒙支援活動の紹介といった趣旨で出されたものだけに、いささか総花的印象は否めない。しかし私が聴く気になったのは現代音楽が、それも日本を代表する優れた作曲家の未聴の、最近(私にとっては、だけれど)の作品が目に留まったからであった。収録の大部分を占める古典名曲は勝手ながら紹介を割愛させて頂くとして、以下のとおり。

徳山美奈子『交響的素描<石川>-加賀と能登の歌による』(2002)

エドゥアルド・トゥビン(1905~82・エストニヤ)『交響曲第3番<英雄的>より第3楽章』(1943)

湯浅譲二『内触覚的宇宙Ⅴ~オーケストラのための』(2002)

三善晃交響詩<連禱(とう)富士>』(1988)

大栗裕管弦楽のための<神話>』(1977)

アルバン・ベルク管弦楽のための3つの小品 作品6』より第2曲「輪舞」、第3曲「行進曲」

間宮芳生『オーケストラのための<地球の友達>』(2002)

ルチャーノ・ベリオシンフォニア』より第3部「静かに流れるような動きで」

一柳慧『オーケストラのための<架橋>』(2001)

これだけでも聴き応えがあった。大家としての風格で美しい民族(俗)的昇華を謳う、間宮芳生『オーケストラのための<地球の友達>』。湯浅譲二『内触覚的宇宙Ⅴ~オーケストラのための』には、未だこれほどの内的激しさ、それも抽象性を失わずに表出するエネルギーには驚いた。冒頭から中盤への緊張感を保った動きはすばらしい。ただ後半は、民俗性がもろに出すぎて弛緩してしまった様で残念。三善晃交響詩<連禱(とう)富士>』には、荒々しく、激しても知的でかっちりと仕上げる技は独特のものか。ただもう少しのオーケストレーションの膨らみが・・・と思うのだけれど。時々薄っぺらい感じのする(浮いてしまった)音がある。矢代秋雄にもそうした音を感じるのだが。これはオケのほうにではなく作品の所為と思われるのだけれど。どんなものだろう。いちばん私に好ましく聴けたのは、一柳慧『オーケストラのための<架橋>』だった。なんでも解説・石田一志によると≪音楽的には、異なった素材同士が共生し、さまざまな関係を形成しながら進展する。それは西洋近代的な対立的な二元的アプローチに対して、「架橋」のもつ複合的な意味を介して、いわばポスト・モダン的な多元論的アプローチを音楽的に提唱している。≫と言うことであった。たしかに民族(俗)性の取り込み方には、情緒に流されることのない真っ当さを感じる。そうした意味では、徳山美奈子の『交響的素描<石川>-加賀と能登の歌による』など書法的に洗練されてはいるのだろうけれど、民族的傾向性(情緒性)を骨格とする作品に常に感じる、尻むず痒く、居ごごちの悪さ、気恥ずかしさなどを聴き取るのは私だけなのだろうか。外山雄三の作品だったと思うけれど、民俗(俗)的素材がモロに出てきたりするときの落ち着きの悪さ、居ごごちの悪さと相同のものを感じる。若い作曲家なのにである。そうしたことを思うと一柳慧の≪・・多元論的アプローチを音楽的に提唱している。≫その試みの『オーケストラのための<架橋>』は好ましく思えるのだけれど。






『日本のオーケストラ』(2003/CD4枚組)

1-3.ハイドン交響曲第1番二長調Hob.Ⅰ-1……………………………………[3'30"/2'57"/1'25"]
  東京交響楽団 指揮:ユベール・スダーンHubert Soudant
4.ベートーヴェン交響曲第2番ニ長調作品36より第4楽章……………………………………[6'17"]
  札幌交響楽団 指揮:尾高忠明
5.ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調作品55《英雄》より第4楽章……………………[12'22"]
  山形交響楽団 指揮:黒岩英臣
6.ベートーヴェン交響曲第5番ハ短調作品67《運命》より第1楽章…………………………[7'05"]
  東京フィルハーモニー交響楽団 指揮:チョン・ミョンフンChung Myung'lybun
7.シューベルト交響曲第9番ハ長調D.944《ザ・グレート》より第3楽章…………………[14'48"]
  大阪センチュリー交響楽団 指揮:高関健
8.メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》作品26……………………………………[10'32"]
  東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 指揮:飯守泰次郎
9.シューマン交響曲第4番二短調作品120より第4楽章(前楽章よりアタッカで終楽章に入ります)…[10'11"]
  NHK交響楽団 指揮:ウォルフガング・サヴァリッシュWOlfgang Sawallisch

1.ワーグナー:楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》より第1幕への前奏曲…………[9'56"]
  読売日本交響楽団 指揮:ゲルト・アルブレヒトGerd Albrecht
2.ベルリオーズ:序曲《ローマの謝肉祭》作品9 ・・・………………………………………………[8'44"]
  関西フィルハーモニー管弦楽団 指揮:藤岡幸夫
3-4.ベルリオーズ幻想交響曲作品14より第4楽章、第5楽章…………………………[4'28"/9'17"]
  京都市交響楽団 指揮:大友直人
5.サン=サーンス交響詩《死の舞踏》作品40…………………………………………………[6'33"]
  セントラル愛知交響楽団 指揮:松尾葉子
6.リムスキー=コルサコフ:交響組曲シェエラザード》作品35より第2楽章「カランダール王子の物剔……[12'30"]
  神奈川フィルハーモニー管弦楽団 指揮:現田茂夫
7.リヒャルト・シュトラウス交響詩ドン・ファン》作品20………‥‥‥‥‥[17'10"]
  九州交響楽団 指揮:大山平一郎


1.ホルスト組曲《惑星》作品32より「木星」--一一陽気さをもらたらすもの……………………[8'04"]
  新日本フィルハーモニー交響楽団 指揮:広上淳一
2.ラヴェルボレロ……………………………………………………………………………………[14'54"]
  東京都交響楽団 指揮:ガリー・ベルティーニGary Bcrtini
3.徳山美奈子:交響的素描《石川》--一加賀と能登の歌による…………………………………[12'17"]
  オーケストラ・アンサンブル金沢 指揮:岩城宏之
4.トゥビンE.Tubin:交響曲第3番《英雄的》より第3
  広島交響楽団 指揮:秋山和慶
5.湯浅譲二:内触覚的宇宙V~オーケストラのための…………………………………………[12'36"]
  日本フィルハーモニー交響楽団 指揮:尾高忠明
6三善晃交響詩《連禱富士》……………………………………………[13'30"]
  オールジャパン・シンフォニーオーケストラ 指揮:渡漫一正

1.大粟裕:管弦楽のための《神話》………………………………………[15'22"]
  大阪フィルハーモニー交響楽団 指揮:下野竜也
2-3.ベルクA.Berg:管弦楽のための3つの小品作品6より第2曲「輪舞」、第3曲「行進曲」……[5'58"/9'50"]
  名古屋フィルハーモニー交響楽団 指揮:沼尻竜典
4-9澗宮芳生:オーケストラのための《地球のともだち》(2002)
 1.お月さまいくつ/2.おやゆびピアノ/3.やまのこもりうた/4.ダニの歌/5.民謡/6.ムカデの歌‥‥‥[2'20"/
1'45"/2'38"/2'56"/2'31"//2'24"]
  大阪シンフォニカー交響楽団 指揮:曽我大介
10.ベリオL.Berio:《シンフォニア》より第3部「静かに流れるような動きで」…………[12'37"]
  群馬交響楽団 指揮:高関健 独唱:東京混声合唱団員
11.一柳慧:オーケストラのため………………………………[14'15"]
  仙台フィルハーモニー管弦楽団 指揮:外山雄三