yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ルチアーノ・ベリオ、ピアノ作品集『PIANO MUSIC』(2004)。たゆたう音の万華鏡、息づき色鮮やかな響きの世界。12音列、無調から自在に遥かに遠くして飛翔し、そして美しい。

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Berio- Piano Sonata (1/3)

            

イメージ 2今日はルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio, 1925 - 2003)のピアノ作品集『PIANO MUSIC』(2004)。これはタワーレコードで正価で買ったもの。きのうのような半額以下ゆえの、さもしい衝動買いでのものではない。これは、ずいぶんと前のことだけれど、いつものように帰宅途上の車中にてスイッチオンしたNHK・FMから流れていたピアノ曲で、いたく感動して機会あればCD購入して聴きたいと思っていたベリオのピアノ作品。当初、車中で耳にしたとき誰のピアノ曲か分からず、聴き終えての曲紹介でベリオのものと分かったのだった。こんなに大きなピアノソロ作品(約23分)がベリオのリストにあったのか知らんと思っていたら亡くなる前の作品で最近作と説明されていた。ずいぶんと音の色彩感と流動感のある、それゆえか、まとまった感じのする一流の作曲家の作品だなと思っていたら、ベリオとわかって、私の感性も満更でもないと、ひとり悦にいったものだった。たゆたう音の流動のなか最後まで聞かせるのだった。散漫、弛緩を感じさせないみごとさであった。きょうび、ネット通販の時代ゆえ、そのルートで探せばなんでもないのだろうが、店頭での購買が身についてしまっているもので、先日の盆休みを利用してショップ買いとなった次第。やはり買ってよかった。このアルバム・CDのたぶん目玉だろうと思われるこの当の「Sonata per pianoforte solo」(2001)には存分に堪能した。ルチャーノ・ベリオの、というも然りながら、ピアノ音楽作品としても歴史に残る名作品としてのちのち数多く演奏されることだろう。弩シロウトゆえの謂いだけれど、音の表情を保ちつつ生きいきとパフォーマンスするのはさぞや難しいことだろうと思わせるほどで、たぶん難曲なのではと思わせる。ベリオといえば音のタペストリー、万華鏡、迷宮・ラビリンス【Labyrinth】といった言葉が口をついて出てくるほどに、その響き、音色は色めき流動し息づいているのだ。色づく音たち。印象派の生動する、存在を賦活する色彩のリズムとでもいいたくなるような、音の一つ一つがいきた表情をみせるのだ。たゆたう音の万華鏡、息づき色鮮やかな響きの世界。みごとなものであり、ベリオのこれは、云うもさらなり独特だ。知られた話だけれど≪父、祖父はともにオルガニスト兼作曲家であり、ピアノや和声法などを彼らから学んだ。19歳の時に軍隊に徴集されたが、銃の暴発により右手を負傷し、奏者としての道を絶たれてしまう。≫たぶんピアニストも一つの既定の選択肢であったのだろう。しかし運命はそうはさせなかった。そして≪作曲に集中することにした彼は、1947年に作曲したピアノ曲《小組曲》でデビューする。≫(WIKIPEDIA)何ということだろう。こうした若き日の挫折、諦念とピアノ作品。それらがこうした響きの独特を得せしめたのだろうか。12音列、無調から自在に遥かに遠くして飛翔し、そして美しい。何よりも音が色づき息づいて生きている。

1. Sonata per pianoforte solo(2001)
2. Brin (1990)
3. Leaf (1990)
4. Wasserklavier (1964)
5. Erdenklavier (1969)
6. Luftklavier (1985)
7. Feuerklavier (1989)
8.Rounds(1967)
9. Sequenza IV (1966)
10. Cinque Variazioni (1952/53-revised1966)
11. Touch (1991)
12. Canzonetta (1991)

小品の「4. Wasserklavier」(1964)は泣けてくるほど美しい。


Luciano BERIO: "Rounds" (1967), Performed by Hayk Melikyan, piano